鶴見川におけるマイクロプラスチックの新たな評価方法
東京理科大学の研究チームが、鶴見川におけるマイクロプラスチック(MP)の幅広いサイズを評価する新たな手法を開発しました。この手法は、限られた観測サイズから未計測の範囲における質量濃度を高精度で推定できる点が特長です。
研究の背景
近年、微細プラスチックの環境への影響が深刻な問題として取り上げられるようになりました。特に、河川や海洋の生態系に与える影響が懸念されており、MPの汚染状況の正確な把握と対策が急務となっています。しかし、MPのサイズが小型のものについては、標準化された調査手法が不足しているため、評価が困難でした。
研究の目的
本研究では、鶴見川におけるMPの粒子数濃度および質量濃度の関係を明らかにすることを目的とし、異なるサンプリング手法を使用して7つのMPサンプルを採取しました。これにより、すべてのサンプルに対してべき乗則が適用できることを証明しました。
研究の実施
研究チームは、マイクロプラスチックを以下の3種類に分けて調査しました:
1.
小型マイクロプラスチック(SMP): 1〜200μm
2.
中型マイクロプラスチック(MMP): 200〜700μm
3.
大型マイクロプラスチック(LMP): 700〜5000μm
それぞれのサイズに適したサンプリング方法を用いて、河川の表層から収集したデータを基にサイズスペクトルを算出しました。その結果、小さいサイズのMPの濃度が高いという傾向が確認されました。
べき乗則の適用
すべてのサンプルにおいて、MPの粒子数濃度と質量濃度のサイズスペクトルがべき乗則に従って近似できることを見出しました。具体的には、粒子数濃度の傾きが約-3.27、質量濃度が-1.05と、理論値に近い結果が得られました。このことにより、限られたデータから全体の質量濃度を精度良く推定できることが示されました。
研究成果の意義
この新手法は、MPの色々なサイズレンジを一つの基準で比較可能にし、過去の研究データを有効に活用できるようになります。これにより、環境汚染に対する理解を深め、より効果的な対策が期待されます。
研究の第一著者、江越弘太氏は「この手法により、異なる調査地点やサイズ範囲においても、MP濃度を統一的に評価することが可能になる」とコメントしています。また、これにより、MPデータのさらなる標準化と汚染実態の理解促進が期待されています。
研究の今後
本研究は、今後の環境政策において重要なステップとなることが期待されています。特に、河川におけるMP汚染の実態解明に向けた新たなアプローチが提案されたことで、政策立案者や研究者にとって新たな参考となるでしょう。
参考文献
本研究の結果は、2026年4月2日に国際的な学術誌『Environmental Pollution』に発表されました。研究は環境省の支援のもとで行われています。