宇宙実験基盤となるキンギョのウロコ保存技術、国際的な研究成果を発表！

宇宙実験基盤となるウロコ保存技術の研究

最近、金沢大学をはじめとする複数の大学の研究グループが、キンギョ（Carassius auratus）のウロコを、細胞活性が維持された状態で長期間保存する技術に成功しました。この研究は、宇宙実験における新たな基盤技術の確立を目指しており、2025年度からの国際宇宙ステーション（ISS）での実験利用が期待されています。

研究の背景と目的

宇宙環境下では、様々な生理的ストレスにさらされるため、宇宙生物学の研究が進められています。特に、細胞レベルでの変化を観察することが重要であり、そのために生物試料の適切な保存技術が必要不可欠です。しかし、従来の保存方法では、生物試料の細胞活性が徐々に失われてしまう課題がありました。そこで、金沢大学の鈴木信雄教授を中心とした研究チームは、ウロコに含まれる骨芽細胞および破骨細胞の活性を保持したまま、長期保存が可能な技術の開発に挑んだのです。

研究の方法と成果

今回の研究では、キンギョのウロコを0.1%の次亜塩素酸で滅菌し、培地を交換せずに4℃の低温で保管するという方法が用いられました。実験の結果、1週間以上の保存期間においても、ウロコ内の細胞は高い活性を保ち、重力応答も確認されました。さらなる実験では、培地交換を行わない条件下でも3週間以上の細胞活性維持が実証されています。これにより、宇宙における生物学的実験の信頼性が向上し、実験データの質が大きく改善されることが期待されています。

宇宙への応用と今後の展望

この技術の大きな利点は、キンギョをロケットの打ち上げ前にパッキングする必要がなく、事前に日本でパッキングしたウロコを低温で維持し、NASAなどの射場に直接運べることです。さらに、ロケットの打ち上げが予期せず遅延した場合でも、保存状態が維持できるため、実験データの信頼性が高まります。今後、この技術を利用した宇宙実験が進められ、国際宇宙ステーション（ISS）での具体的なプロジェクトにも発展していく予定です。