障害年金不支給問題に迫るオンラインセミナーの詳細レポート

2025年5月31日、障害者支援団体であるぜんち共済株式会社が主催したオンラインセミナー「見えない判定」に募る不信～障害年金不支給問題への緊急提言～が開催されました。本セミナーは、障害年金制度の現状と課題を広く共有し、具体的な解決策を提言する目的で実施され、1,734名が参加しました。

障害年金とは

障害年金は、障害を抱える人々が生活を支えるための重要な制度であり、憲法でも「生きるための権利」として位置づけられています。しかし、近年、特に精神・発達障害の領域における不支給件数が急増しており、これが社会問題として取り上げられています。

不支給割合の現状

共同通信社の報道によれば、2023年度に比べ不支給割合は2倍に増加しています。その背景には、日本年金機構内部の運用方針の変更、そこに働く判定医の裁量による偏り、そして制度全体の透明性の欠如が指摘されています。

セミナー登壇者のご紹介

本セミナーでは、共同通信社の特別報道室編集委員である市川亨氏、弁護士の藤岡毅氏、埼玉県手をつなぐ育成会の理事長高野淑恵氏が登壇し、それぞれの視点から問題提起が行われました。

市川亨氏の視点

市川氏は、障害年金不支給の背景に「見えている世界の違い」があるとし、本人や家族が持つ認識と審査側の認識にギャップが存在することを指摘しました。審査は短時間で行われ、そのために本人の実情が正確に反映されず、特に精神・発達・知的障害の判定が曖昧であることが問題視されています。

藤岡毅氏の視点

藤岡氏は、日本にはAbout 1,059万人の障害のある成人がいるにもかかわらず、約238万人（22％）しか障害年金を受給していないと報告。この不均衡は、制度の認知不足や手続きが煩雑であることが一因だと述べました。彼は、障害年金が「権利」であるべきだと強調し、本来受給できる人々が権利を行使できない現状に対する危機感を表明しました。