歴史の記憶を問い直す「木本事件」ドキュメンタリー放送決定

2025年1月12日深夜0時45分から、名古屋テレビ放送（メ～テレ）で注目のドキュメンタリー番組が放送される。タイトルは『メ～テレドキュメント掌で空は隠せない～木本事件の99年後～』で、1926年に三重県木本町（現在の熊野市）で発生した「木本事件」を掘り下げる内容だ。この事件は、トンネル工事に従事していた朝鮮人が、武装した町民の集団に襲われて命を奪われるという痛ましい歴史の一幕。元々小さなトラブルから生じた噂が引き金となり、無実の人々が組織的に暴力の標的となったことは、社会の深い闇を暴露している。これまで、この事件は地域社会でタブー視され、多くの人がその実態を知らないままである。昨年5月に初めて放送された際には、全国各地の放送局が制作した320作品の中からグランプリに選ばれ、今回の特別放送では更なるインタビューや取材が追加されている。ナレーションには女優の寺島しのぶが起用され、彼女は「平和な日本では、過去に何があったのかに思いを馳せる機会は少ない。様々な差別が潜在していると思う。そのことを考える番組になることを願っている」とコメントしている。また、プロデューサーの村瀬史憲氏は、「なぜこのような事件が関東大震災の3年後に、三重県で起こったのか、その背景に潜む『なぜ』を掘り下げたい」と語っており、視聴者に対してしっかりとした問いを投げかける意図が伝わる。番組では、地域の僧侶や教育者、在日コリアンの編集者の視線を通して、現代にも連なる差別の実情を描いていく。地域での歴史や差別問題を考える契機となるこの番組は、今なお世界中で繰り返される民族間の争いを受け止め、過去の教訓を無視しない姿勢が求められる。番組の公式ホームページには、さらに詳細情報が掲載されているため、ぜひアクセスしてほしい。番組が放送される瞬間、歴史の重みを感じることができる貴重な機会に、多くの視聴者が耳を傾けることを期待したい。