Visual Bankが発表した日本語のAI安全性データセット
2026年7月、Visual Bank株式会社(本社:東京都港区)は、傘下の株式会社アマナイメージズが提供する『Qlean Dataset(キュリンデータセット)』から、権利処理済みの実写画像を用いた新たなマルチモーダルAI安全性評価データセット「msts-japanese」を発表しました。これは日本語向けに適した初めてのデータセットであり、国立情報学研究所(NII)が運営する大規模言語モデル研究開発センター(NII-LLMC)が開発したものです。
日本に適したAI安全性評価の必要性
昨今、AIモデルはさまざまな分野で急速に普及していますが、日本語に特化した安全性評価基盤が不足しています。特に、テキストと画像を組み合わせた場合に生じる可能性のあるリスクについては、日本の生活文脈に即したデータが必要です。Visual Bankの研究によれば、同じ画像を使用しても、テキストプロンプトを英語から日本語に変えるだけで、不適切な応答の率が大幅に増えることが確認されています。これに対処するために、日本の文化と生活に即した画像データによる安全性評価が求められていたのです。
「msts-japanese」の概要
「msts-japanese」データセットは、400件のアイテムのうち330件に日本語翻訳を付与し、82件には日本の生活に関連する「日本ローカル画像」を追加しています。この画像はすべてアマナイメージズが権利処理を完了した実写であり、商用利用が可能ですが再配布は許可されていません。
データセットの利用手続き
利用する際には登録が必要で、主にLLM(大規模言語モデル)の安全性向上を目的とした利用が求められています。日本語としての評価データを提供することで、AI開発における安全性の確保に寄与することを目指しています。
日本語のデータセットの意義
このデータセットの大きな意義は、日本の生活に基づいた特異な事例と文化に特化している点です。現実の状況を描写するためには、AI生成画像ではなく実写画像が求められます。また、安全性評価に用いる画像は、権利処理が施されたものでなければなりません。これにより、研究機関は安心して評価基準を設け、安全性を高めることが可能となります。
今後の展望
Visual Bankは、NII-LLMCとの協力を続け、多様な評価データの提供を拡大していく方針です。2026年には、国内最大級の学術会議「MIRU2026」に出展し、この新たなデータセットの重要性を広める予定です。また、「Qlean Dataset」は、AIの安全性向上に向けた他の研究機関や企業との連携を強化し、様々なモダリティに対応できるようデータラインナップを随時充実させていきます。
まとめ
AIの利用が進む中で、安全性の基盤を築くことは重要です。「msts-japanese」は、特に日本におけるAIの安全性評価に寄与する重要なステップであり、今後の発展が期待されます。Visual Bankは、この新しい取り組みを通じて、国内外のAI開発者を支援し、さらに踏み込んだ安全性の確保を目指していきます。