ASCENT-07試験の結果
2025-11-26 13:46:10

ギリアドが報告したASCENT-07試験の最新結果とトロデルビの可能性

ASCENT-07試験の概要とトロデルビの現状



ギリアド・サイエンシズが11月7日に発表した第III相ASCENT-07試験の結果は、転移・再発のホルモン受容体陽性かつHER2陰性(HR+/HER2-)乳がん患者に対する治療の新たな展望を示しています。本試験では、内分泌療法後の一次治療として投与されたトロデルビ(一般名:サシツズマブ ゴビテカン)の効果を化学療法と比較しましたが、無増悪生存期間(PFS)の主要評価項目は達成されませんでした。

トロデルビと試験結果



ASCENT-07試験では、患者654名が参加し、トロデルビ投与群と化学療法群に無作為に割り付けられました。主要評価項目であるPFSは、盲検独立中央判定(BICR)によるRECIST v1.1に基づいて評価されました。しかし、化学療法群と比較してトロデルビ投与群のデータは充分に成熟したものではありませんでした。

一方で、副次評価項目である全生存期間(OS)の初期結果は、トロデルビ投与群がやや良好な傾向を示しました。研究責任者であるホープ・S・ルーゴ医師は、HR+/HER2-乳がんは治療が難しく、高い不均一性を持つことから、引き続きOSの評価が必要と強調しました。

安全性について



ASCENT-07試験におけるトロデルビの安全性プロファイルは、以前の試験結果とは一貫性を示しており、新たな安全性の懸念は見られませんでした。ギリアドのチーフ・メディカル・オフィサーであるディートマー・ベルガー氏は、TROPiCS-02試験でOSの改善が示されており、トロデルビが現在、転移・再発HR+/HER2-乳がんに対する標準治療であると述べています。この研究には、患者とその家族、治験責任医師、支援者に感謝の意が表されています。

トロデルビの承認状況



トロデルビは、TROP-2を標的とした唯一の抗体薬物複合体(ADC)であり、特に治療歴のある転移・再発HR+/HER2-乳がんおよびトリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対して有効性を示しています。この薬剤は、NCCNの臨床診療ガイドラインにおいてカテゴリー1の推奨を受け、ESMOの評価でも高い結果を得ています。

今年初めには、トロデルビの第III相試験結果が良好で、転移・再発TNBCの一次治療において統計的に有意なPFSの改善が示されました。この結果は、今後の研究においてさらなる希望をもたらすものであり、今後、トロデルビを使用した第III相試験も続けられます。

今後の展望



現在、トロデルビの適応は二次治療以降のTNBCおよびHR+/HER2-乳がんとして承認されていますが、まだ研究段階であり、その有効性と安全性のさらなる確立が求められています。ギリアドは、高リスクの早期トリプルネガティブ乳がん患者を対象としたASCENT-05試験や、他のがん種におけるトロデルビの可能性を評価する試験を通じて、薬剤の適用範囲を広げる努力を続けています。

トロデルビの更なる研究と開発は、特に治療歴のある転移・再発乳がん患者にとって、希望の光となることが期待されています。患者への影響を評価するための追跡調査が進めば、トロデルビの安全で効果的な治療法としての展望がより明確になるでしょう。

引き続き、ASCENT-07試験の詳細情報や結果は、ClinicalTrials.gov(NCT05840211)で確認できるので、関心のある方はぜひご覧ください。

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