デジタル社会の消費者意識調査結果
最近、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が実施した「デジタル社会における消費者意識調査2025」の結果が発表され、デジタル環境における消費者の行動や意識について多くの示唆が得られました。この調査は、全国の18歳から70代の男女を対象に、生成AIやダークパターン、個人情報などのテーマについて行われました。結果の中でも特に目を引くのは、「ダークパターン」と呼ばれる意図的にユーザーを誘導するWebデザインに対する消費者の反応です。
調査のキーポイント
1. 個人情報提供への抵抗感の高まり
調査結果によると、個人情報を提供することに抵抗を感じる人は70.6%に達し、前年から3.5ポイント上昇しています。この傾向は特に、プライバシー保護に対する意識が高まっている表れと考えられます。また、約半数の人が「個人情報の登録が必要なサービスは利用しない」といった経験を持っています。
2. 生成AIへの意識変化
生成AIの利用経験が前年比で10ポイントも増加しており、特に若年層、特に男性の利用が顕著です。このような状況の中で、AIに対するポジティブな印象が増えている一方で、ハルシネーションやディープフェイクといったリスクへの懸念も依然として存在しています。
3. 情報漏えい時の企業の信頼回復
情報漏えい事故が発生した際には、スピード感も大切ですが、個人に対する丁寧な対応が重視されています。再発防止策を適切に提示することで、企業は失った信頼を回復することが可能であることが示されました。
4. プライバシーテックの重要性
調査では、プライバシー保護技術の導入が消費者の安心感を高めることにつながるという結果も明らかになりました。この点は、企業がどのように個人情報を扱うかに大きく影響します。
5. ダークパターンの影響
「ダークパターン」による消費者行動の変化は非常に顕著です。ユーザーを意図的に誘導するようなWebデザインに触れた際、約70%以上の人が行動を中止したと回答しています。このことから、誠実で信頼できる企業であることが、長期的には顧客の獲得につながると考えられます。
6. 働き方の意識
出社を希望する人が約6割に達し、テレワークを望む人は約3割という結果も得られる中、オフィス勤務への回帰といった傾向が浮かび上がっています。この背景には、働き方の多様化が進む中でも、対面でのコミュニケーションを重視するニーズが存在すると見られます。
最後に
今回の調査は、デジタル社会における消費者意識の変遷を探るうえで非常に重要な意味を持ちます。特に、企業は自身の信頼を築くために、ユーザーの不安や懸念に対処する姿勢が求められています。ダークパターンへの注意を怠らず、誠実なサービス提供を行うことで、消費者との信頼関係を深めることが肝要です。