日本初の皮膚常在微生物カクテルが提供開始
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)は、2025年6月2日から国内初となる皮膚の微生物群集を模した「NBR皮膚常在微生物カクテル」の提供を開始します。このカクテルは、ヒトの皮膚に生息する微生物の調査や研究開発を加速するための重要な試料となることが期待されています。
皮膚マイクロバイオームの重要性
皮膚に存在する微生物、いわゆるマイクロバイオームは、皮膚の健康や疾患との密接な関係が明らかになっています。たとえば、アトピー性皮膚炎や乾癬といった皮膚疾患に大きな影響を与えていることが知られています。さらに、住環境の微生物群とも関連があり、法医学や産業応用においても大きな可能性を秘めています。しかし、これまでの解析は方法や処理によりデータがばらつくことが課題でした。
微生物カクテルの特長
NITEが開発した「NBR皮膚常在微生物カクテル」は、皮膚に生息する細菌14種と真菌4種から構成されています。2つのバリエーションを提供し、以下のように利用可能です:
- - NBR皮膚常在菌菌体カクテル: 細菌と真菌の細胞または胞子を含む混合物。
- - NBR皮膚常在菌DNAカクテル: ゲノムDNAの混合物で、シーケンスライブラリーの調整時に役立ちます。
このカクテルを参照することで、皮膚マイクロバイオーム解析における実験手法の妥当性評価や精度管理が可能となり、得られるデータの信頼性が大幅に向上します。
研究開発の未来
さらに、NITEはこのカクテルと共に「JMB皮膚メタゲノム解析推奨プロトコル」を提供します。このプロトコルを組み合わせることで、解析手法の一貫性が確保され、高精度なデータの取得が可能になります。これにより、皮膚疾患やスキンケアに関する研究が一層進展し、産業の拡大が期待されています。
結論
本プロジェクトは、一般社団法人日本マイクロバイオームコンソーシアム(JMB)や国立研究開発法人産業技術総合研究所との協力により実現しました。NITEの取り組みは、微生物による健康的な社会の実現に向けた大きな一歩です。
詳細な情報はこちらから確認できます。
NITEは、経済産業省所管の法人として、様々な産業を技術面からサポートし、持続可能な経済成長の実現に寄与しています。