空間光通信の新時代
2025-12-16 14:12:44

世界初!小型光通信端末による空間光通信2 Tbit/sの成功

新たな通信のフロンティア



国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、衛星や高高度プラットフォーム(HAPS)に搭載できる小型光通信端末を使った空間光通信の実証において、ついに世界初となる2 Tbit/sの伝送速度を達成しました。この快挙は、通信技術の未来を切り拓く重要なステップとなります。

実験の成果



この実験は、東京都小金井市に設置された高機能型端末(FX)と、7.4 km離れた調布市に設置された簡易型端末(ST)との間で行われました。厳しい大気の影響がある都市部での実験にも関わらず、5チャネル(各400 Gbit/s)による波長分割多重伝送を利用して、安定した2 Tbit/sの通信が実現しました。これは、都市部特有の大気のゆらぎの中でも、信号が途絶えることなく、明瞭に受信され続けた結果です。

この成功により、NICTは世界で初めて、衛星やHAPSに搭載可能な小型通信端末によるテラビット超え通信の実用化に向けた大きな一歩を踏み出したことになります。これにより、Broadband 5G/6Gの非地上系ネットワークの実現に向けた道が開かれました。

空間光通信の将来



空間光通信技術は、光ファイバーを使わずにレーザー光を利用して情報を伝送する、新しい次世代通信の取り組みです。これにより、地上や上空、さらには宇宙空間における大容量通信が可能になり、その需要は増すばかりです。従来のテラビット通信は、特に欧州で実証が進んでいましたが、これまでほとんどが大型の装置を用いた実験でした。

今後、NICTはさらに端末を小型化し、2026年に予定される低軌道衛星との通信実験に向けた準備を進めます。このことにより、通信の効率性や安定性を高め、2040年までに多様なプラットフォームでの実用化を目指します。

技術的課題の克服



今回の成功には様々な技術的課題が伴いました。小型化にあたって、例えば新しい設計部品を開発したり、商用部品を再設計したりするアプローチが採られました。さらには、既存の部品を積極的に利用することで、装置全体のサイズや消費電力を大幅に削減することに成功しました。

特に、移動体での運用を考慮した設計は、安定した通信の実現に大きく寄与しています。NICT独自のビームダイバージェンス制御技術は、レーザー光の広がり角を環境に応じて動的に調整することを可能にしており、これにより通信の安定性が確保されています。さらに、ST端末とFX端末の組み合わせによる柔軟な運用も実現しており、多種多様な通信要件に応じることができるのです。

今後の研究開発



NICTは今後も、空間光通信技術のさらなる発展に向けて、研究を進めていく予定です。2026年には、新たな実験を通じて通信環境のダイナミクスを検証し、非地上系6Gネットワークの実現に向けたビジョンを具体化させる計画です。また、新たに打ち上げが予定されているキューブサット衛星への搭載も視野に入れており、未来の通信環境を変えるシリーズの一環として、さらなる高性能化を目指しています。

このように、NICTの進展は通信業界のみならず、私たちの未来を大きく変える可能性を秘めています。次世代の通信技術がもたらす新たな生活スタイルを、ぜひ楽しみにしていてください。


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