辞職を考える若手社員の心の裏側
株式会社コーナーが実施した調査によると、入社から1〜3年目のZ世代の514名のうち、職場を辞めたいと思っている若手社員の声が浮き彫りになりました。本稿ではその詳細をお伝えし、若者が抱える「やりがい」と「待遇」のギャップを考察します。
調査の目的と概要
この調査は、「職場の継続・退職意向と期待ー実態ギャップ」をテーマに行われ、対象は新卒入社から1年以内の退職志向層およびしばらく続けたいと考える継続志向層です。調査は2025年の8月29日から9月4日の間に行われ、534名が回答しました。この調査からは、若手社員の不満ややりがいの実感が明らかになりました。
不満の本質—退職志向層の声
退職志向層が抱える不満の原因として最も多かったのは、報酬に関する問題です。具体的には、給与や賞与、昇進のスピード、さらに仕事の裁量や働き方に対する不満が挙げられました。例えば、職場の雰囲気や人間関係、さらに柔軟な働き方の要望も高く、調査結果ではこれら4つの項目に顕著なギャップが見られます。特に人間関係や職場の雰囲気について、退職志向層と継続志向層では15.8ポイントの差があり、さらなる環境改善が求められています。
不安の源—情報の影響
不安を感じる要因として最も多かったのは、上司や同僚からの話でした。特に若手社員にとっては、身近な存在の言葉がキャリアに対する不安や期待を大きく左右していることがわかります。したがって、会社内でのコミュニケーションの質を高めることが求められています。
やりがいと働きやすさの両立
調査によれば、継続志向層の32.3%がやりがいと働きやすさの両立を実感しているのに対し、退職志向層ではその数は半分の16.6%にとどまります。両者ともに「やりがいは感じにくい」といった共通の声が上がる中で、働きやすい環境でさえも、やりがいを感じることが難しいという現実が浮かび上がります。
転職に求める条件
求人を検討する際、両層ともに最も重視しているのは「給与・待遇の保証」で、退職志向層が55.1%、継続志向層が64.6%を示しています。継続志向層は柔軟な働き方や成長機会を重視し、退職志向層は成果に対する公正な報酬をさらに重視する傾向が見られます。したがって、企業はコーポレートカルチャーの見直しや、社員の成長を促す制度の改善が必要です。
結論—求められる企業の対応
この課題を解決するには、会社側がやりがいを感じられる環境を整え、適切な評価制度を導入することが不可欠です。上司と部下の間の良好なコミュニケーションが、定着率の向上につながることは間違いありません。Z世代の価値観に寄り添い、改善プロセスを開示することで、社員の信頼を高め、安定した職場環境を築くことが求められています。コーナーの調査結果を用い、離職予防策や定着促進策を検討することが重要です。
この調査を通じて、若手社員が求める理想の職場とは何か、改めて考えるべき時期に来ているのではないでしょうか。