商船三井と関西電力がカーボンクレジット事業で協力
2023年、商船三井(以下、商船三井)と関西電力(以下、関西電力)は、カーボンクレジット事業の共同開発に関する覚書(以下、本覚書)を締結しました。この取り組みは、両社の強みを生かし、地球の環境問題に対処するための重要なステップと位置付けられています。
カーボンクレジット事業の目的
本覚書のもと、商船三井と関西電力は、大気中から二酸化炭素(CO2)を除去するプロジェクト、いわゆる除去系クレジット創出プロジェクトに関する調査を開始します。このプロジェクトは、アフリカや東南アジアなどで行われ、気候変動対策への貢献を目指しています。
商船三井は、「商船三井グループ 環境ビジョン2.2」を掲げ、2050年までにネットゼロ・エミッションの達成を目指しています。その中で、2030年までに累計220万トンのCO2除去を実現するマイルストーンを掲げています。
一方、関西電力も「関西電力グループ ゼロカーボンロードマップ」に基づき、社会全体のゼロカーボン実現を推進しており、自社の事業活動や未来のカーボンクレジット事業でも独立した運営を目指しています。
具体的な取組み
両社は、これまでにもCCS(Carbon Capture and Storage)技術に基づく液化CO2船の設計や、水素分野における液化水素運搬船の共同検討を行ってきました。これらの活動を通じて得られた知見やノウハウを活かし、ゼロカーボン社会の実現に貢献することを目指しています。
本覚書では、以下の5つの項目が注目されています:
1.
除去系クレジット創出プロジェクトの提案 - これまでの研究および調査をもとに、新たなプロジェクトのアイデアを模索します。
2.
事業性・経済性の検討 - 各プロジェクトの実現可能性や経済的なメリットを評価。
3.
プロジェクトデベロッパーおよびオペレーターの評価 - 参画する企業の信頼性や能力を確認します。
4.
除去系クレジットプロジェクトへの参加 - 実際にプロジェクトに参画することで、相互の知見を深めます。
5.
除去系クレジットのオフテイク - 生成したクレジットを実際に購入するメカニズムを模索しています。
除去系クレジットとは?
除去系クレジットは、大気中からCO2を直接除去する手法に基づくものであり、主に「自然系」と「技術系」に分類されます。「自然系」では植林や土壌炭素貯留が、そして「技術系」ではDACCS(Direct Air Capture and Storage)やCECCS(Carbon Capture and Storage)技術が利用されます。これにより、持続可能な社会の構築に寄与することが期待されています。
今後の展望
商船三井と関西電力の覚書により、カーボンクレジット事業は新たな局面を迎えようとしています。二酸化炭素排出問題は、現代社会において最も重要な課題の一つであり、両社の取り組みはこの解決に向けた大きな一歩となるでしょう。今後の進展に注目が集まります。