副業を通じた人的資本経営への意識変革
最近、多くの若者が副業に注目していますが、特にZ世代(20〜29歳)の会社員を対象にした意識調査が、『lotsful』によって行われました。この調査で明らかになったのは、Z世代が企業の人的資本情報にどのように反応しているかということです。
Z世代の人的資本情報の認知度
調査結果によると、人的資本情報開示について副業経験者の認知度は驚くべき81.5%であることが判明しました。これは全体の認知度48.7%を大きく上回る数字で、副業経験がある人ほど会社の福利厚生や給与体系と言った労働環境に関心を持っていることが伺えます。人的資本情報開示とは、企業が従業員のスキルや労働条件、企業文化などの内部情報を外部に公開することを意味します。
情報開示の媒体
調査では、これまでに企業の人的資本情報を見たことがある人は全体の45.0%であり、その主な閲覧媒体は企業の採用ページとSNSとなっていました。特にZ世代はデジタルネイティブであり、SNSを情報収集の手段として積極的に利用する傾向があるため、企業は採用活動にSNSを活用することが重要です。
副業経験者の重視度
興味深いのは、企業の人的資本が企業選びや働き方に与える影響についての結果です。全体の57.2%が「影響する」と回答する中、副業経験者はなんと83.1%が「影響する」と答えており、これが企業選びにおける人的資本情報の重要性を示しています。
企業選びの要素
副業経験者が企業選びに影響を与える要素として最も多かったのは「給与・報酬体系の透明性」(39.4%)で、続いて「福利厚生・ワークライフバランスの実現度」(33.7%)と「離職率の低さ・定着率の高さ」(31.8%)が挙げられました。これらからは、若手社員が企業にコストに対する対価を求める傾向が強くなっていることが見て取れます。
影響しない理由
一方で、企業の人的資本情報が企業選びに影響しないと考える人の理由も興味深いです。主な理由は「抽象的で比較材料になりにくい」(17.0%)や、「情報を見たことがない」(15.0%)、さらには「そもそもあまり考えていない」(15.0%)といったものでした。
企業側のアプローチ
企業は、人的資本情報を開示する際には、定期的な情報のアップデートや客観的なデータを用いた透明性の高い情報開示が求められます。これにより、企業の価値を高め、若手人材の選ばれる存在になることができるでしょう。人的資本経営が重視される中、企業は徹底した管理体制の整備が必要です。
今後の展望
今回の調査結果からは、Z世代がより自身の働き方や企業選びに敏感になってきていることが強く感じられます。副業が人気を博する中、企業は魅力的な職場環境を提供することが求められています。副業がもたらすエンゲージメント向上の可能性も指摘されていますので、企業も積極的に副業制度を導入していくべきではないでしょうか。
企業が選ばれるためには、人的資本情報の管理と情報開示がカギとなります。今後もこのトレンドは続くと考えられます。