Z世代が切り拓く高級時計市場の新トレンド
2025年上半期のトレンドレポートが発表され、Z世代が時計業界に与える影響が明らかになりました。Chrono24とフラテロが共同で行ったこの調査により、特にドレスウォッチの需要が急増していることがわかりました。今回は、その詳細をお伝えします。
Z世代とドレスウォッチの関係
最近のデータによると、Z世代の時計購入者はドレスウォッチのシェアを44%も増加させていることが判明しました。これは他の年齢層の29%と比較しても圧倒的に高く、若い世代がカジュアルなスポーツウォッチからエレガントなドレスウォッチへと関心を移していることを示しています。この変化は、特にカルティエのようなラグジュアリーブランドに顕著で、彼らの市場シェアは7年間で実に4倍に増加したのです。
カルティエの躍進
Z世代の中でカルティエは特に人気を集めており、過去7年間でシェアが1.7%から6.8%に増加しています。この影響は、タンクやサントス デュモンといった典型的なモデルの需要が高まったことにも表れています。他の全年齢層と見比べても、カルティエのシェアは2.9%から4.8%にとどまっており、若者の支持が市場の動向に大きな影響を与えているのは明らかです。
ロレックスの安定した人気
一方、ロレックスの市場シェアは33.7%と、高い安定性を保っています。人気モデルであるデイトナがサブマリーナーを抜いて、デイトジャストに次ぐ第2位となり、これまでの需要の推移が堅調であることを示しています。コロナ禍においては投機目的で高騰した価格が落ち着き、ロレックスは信頼できるブランドとしての地位を固めています。これにより、全体の市場が正常化する中で、ロレックスが中心的な存在となっているのです。
ドレスウォッチの新しい需要
さらに、ドレスウォッチの需要は低価格帯と高価格帯に二極化していることも注目に値します。Z世代が購入する時計の12%はドレスウォッチであり、この年齢層のニーズが年々高まっています。彼らはエントリーモデルやハイエンドモデルを選ぶ傾向が強く、特に€500~€2,000(約8万円~35万円)のモデル、もしくは€20,000(約350万円)以上のモデルが人気です。中価格帯での動きは減少しているため、ブランドはこれらのニーズに応じた商品戦略が求められています。
市場の回復とブランドの反響
Chrono24によると、二次流通市場は今なお堅調で、特にオメガやチューダー、IWCといったブランドは前年に比べてそれぞれ好調な伸びを示しています。ハイエンドブランドも、コロナ後の市場の落ち着きが影響し、安定した価格での取引がなされています。今後の市場動向には注意が必要ですが、新しい世代の時計に対する関心は明らかに変化しています。
まとめ
今回のレポートから見えるのは、Z世代が時計の選び方やトレンドを一新しているということです。彼らは自己表現の手段としてドレスウォッチを選ぶ傾向があり、その影響は今後の市場にも強く反映されるでしょう。この新しい動きは、時計コレクターやブランドにとっても新たな商機をもたらすかもしれません。今後の動向を注視しながら、どのような時計が市場で価値を持つのか、引き続き観察を続けていきます。