新たな本人確認の形、日立のeKYCサービス
日本の金融機関における本人確認手続きは、急速にデジタル化が進んでいます。その中でも特に注目を集めているのが、日立製作所とサイバートラストが協力して提供開始した「eKYC支援サービス」です。本サービスは、iPadを用いて本人確認書類のICチップを読み取る機能を追加し、安全でスムーズな本人確認手続きを可能にします。
このサービスは、2023年9月16日から三菱UFJ銀行で導入され、その利用が開始されました。これにより、従来のカメラによる書類読み取りに代わり、ICチップからのデータ取得が可能となるため、偽造やなりすましなどのリスクが大幅に軽減されます。金融機関向けに特化したこのサービスは、特に非対面での本人確認を安全に進めるために設計されています。
eKYCサービスの仕組み
eKYC(electronic Know Your Customer)は、オンラインでの本人確認を指し、日立の「eKYC支援サービス」では、iPadに外付けカードリーダーをBluetooth接続して使用します。運転免許証やマイナンバーカードなどのICチップを読み取り、その情報の真正性を確認することで、本人であることを保証します。これにより、利用者は安心して手続きを行うことができ、銀行の窓口業務も効率化されます。
金融機関のサービスは、暗号化されたICチップ情報を送信し、利用者の顔写真と照合することで本人確認を行います。これにより、法改正に伴う新たなルールにも対応可能になります。特に、利用者がオンラインでスマートフォンを利用して本人確認を済ませることができるため、店舗業務の負担軽減にも大きく寄与します。
法改正と今後の展望
2027年4月に施行される法改正により、本人確認手続きにはICチップの読み取りが義務付けられる見込みです。このタイミングで日立の「eKYC支援サービス」が広く普及することで、金融機関は新たな規則に適応できる体制を確立することができます。
日立は、今後もサイバートラストとの協力を強化し、サービスをさらに拡大していく方針です。金融機関だけでなく、公共機関への導入も視野に入れ、広範囲な展開を考えています。また、iPadに限らず、他のタブレット端末への対応も進めることで、非対面取引をさらに普及させる計画です。
まとめ
日立の「eKYC支援サービス」は、オンラインでの本人確認を安心・安全に行うための重要な一歩です。三菱UFJ銀行での導入により、金融取引の透明性と信頼性が一層向上することでしょう。これからの金融サービスは、このような技術的進化によって、より一層利用者に対しての利便性を提供し、安心してサービスを利用できる環境を整えていくことが求められます。