コーヒーの生命を別の形へ -「コーヒー薄炭クラフト」の誕生
奈良県で1300年前から続く再生紙の文化を持つ老舗の株式会社ペーパル。明治23年に創業し、地元の文化を重んじる紙の専門家たちは、コーヒーかすを利用した「コーヒー薄炭クラフト」を新たに開発しました。この画期的な新素材は、奈良に本拠を構える自家焙煎スペシャリティコーヒーの「ロクメイコーヒー」とのコラボレーションによって生まれました。
行き場のなかったコーヒーかす
コーヒーの抽出過程で、使用済みのコーヒーかすがどうしても排出されます。ロクメイコーヒーでは年に約40トンものコーヒー豆を焙煎しますが、コーヒー抽出用の紙フィルターが混ざることで、有効な活用方法を見出せずにいました。これに対し、井田社長は「なんとか利用できる方法はないか」と模索していました。
その時に着目したのが、ペーパルの「kome-kami」でした。これは使い道のなくなった食用米を用いて作られた紙です。この技術をコーヒーかすに応用することができないかという考えが、新たな価値の創造への第一歩となったのです。
バイオ炭化で実現した新しい再利用法
工夫から生まれた「コーヒー薄炭クラフト」は、コーヒーかすを高温で炭化し、その成分をクラフト紙に配合するという革新的な製法によって作られます。この過程で紙フィルターなどの障害物をも問題なく処理できるため、従来の分別やリサイクルの難しさが解消されました。
当時から日本では再生紙を用いる文化があり、奈良時代に創られた薄炭クラフトは、その伝統を踏襲しつつも新しい視点を持った取り組みがなされています。
「コーヒー薄炭クラフト」の広がり
この新素材は、ロクメイコーヒーが販売するギフトボックスに採用され、今まで注目されなかったコーヒーかすが、贈り物の一部として活用されています。特にギフトを受け取ったお客様からは「コーヒーかすが紙になるなんて!」という驚きとともに、アップサイクルの重要性が広がっていることを実感する声が寄せられています。
未来の循環型社会へ向けて
コーヒー薄炭クラフトの特徴は、その優れた消臭機能や、FSC認証を受けた古紙100%の材料を使用している点です。また、クローズドリサイクルという仕組みも取り入れられていて、コーヒーかすが自社パッケージに生まれ変わることで、持続可能な社会の一翼を担っています。
この技術はコーヒー業界だけでなく、他の食品や農業、アパレルなどの様々な分野にも応用が可能です。
関係者の想い
井田社長は「コーヒーのかすを利用して、もっと多くの人に喜んでもらえたら」と語ります。その思いのもと、コーヒーの香りと記憶が詰まった紙が、多くの人に届き、サステナブルな未来に貢献することを目指しています。
また、ペーパルの矢田取締役も「奈良の再生の精神を広めたい」との想いを抱いており、この取り組みを通じて、新たな文化を育んでいきたいと願っています。
奈良から生まれた「コーヒー薄炭クラフト」は、循環型社会を目指す一歩として、私たちの生活と環境に新たな価値をもたらそうとしています。