TNBC治療の新展開
2025-06-12 13:16:18
新たな治療法トロデルビとキイトルーダ、TNBCの進展を示す
トロデルビとキイトルーダによる転移・再発TNBCの新たな治療法
最近、ギリアド・サイエンシズが発表した研究成果により、トロデルビ(サシツズマブ ゴビテカン)とキイトルーダ(ペムブロリズマブ)の併用療法が、PD-L1陽性の転移・再発トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の一次治療において、病勢進行や死亡リスクを35%低減することが示されました。この成果は、医療界にとって重要な進展を意味します。
試験の概要と結果
ASCENT-04/KEYNOTE-D19試験というピボタルな第III相試験では、未治療のPD-L1陽性TNBC患者を対象に、トロデルビとキイトルーダの併用療法を化学療法とキイトルーダの併用療法と比較しました。結果、無増悪生存期間(PFS)の中央値はトロデルビとキイトルーダ群で11.2カ月であったのに対し、化学療法群では7.8カ月という結果が得られました。
この試験の責任医師、Dana-Farber Cancer Instituteのサラ・トレイニー医師は、トロデルビとキイトルーダの併用療法が、他の治療法に比べて有意義な結果を示しており、今後の標準治療となる可能性を支持していると語っています。
臨床データと安全性プロファイル
主要評価項目であるPFSにおいて、トロデルビとキイトルーダ併用療法群では病勢進行や死亡リスクが35%低下しました(ハザード比0.65、p<0.001)。また、奏効率も高く、トロデルビ群での奏効率は60%、完全奏効率は13%であり、キイトルーダと化学療法群ではそれぞれ53%、8%でした。これにより、治療の効果だけではなく、転移や再発の可能性を低下させることが確認されました。
この併用療法の安全性については、既知の副作用プロファイルと一致しており、特に好中球減少症や下痢が多く見られたものの、治療を中断する患者の割合は低く、治療を継続できる可能性が示唆されました。
TNBCに対する新たな希望
トリプルネガティブ乳がんは、最も治療が難しいとされる乳がんの一種で、特に成人女性において発症率が高いです。この疾患に対する新たな治療選択肢が提供されることで、多くの患者に希望がもたらされることが期待されます。ASCENT-04試験のデータは、2025年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表される予定です。
まとめ
これらの新しい治療法の進展は、PD-L1陽性のTNBC患者にとって大きな意味を持ちます。治療選択肢が限られている中で、トロデルビとキイトルーダの併用療法が新たな標準療法となる可能性は、患者にとって希望の光となるでしょう。私たちの医療界は、この新たな治療法の実用化に向けてさらなる努力を続けていく必要があります。