性決定メカニズムの解明
2026-03-13 10:50:20

温度依存型性決定の遺伝子発現メカニズムを解明した研究が始動

温度依存型性決定の遺伝子解析の新たな一歩



東京理科大学の先進工学部生命システム工学科に所属する宮川信一教授らの研究グループが実施した新しい研究は、温度依存型性決定(TSD)のメカニズムについての理解を深めるものです。これまで、TSDの研究は主にワニやカメに焦点を当てていましたが、今回の研究では、特にヒョウモントカゲモドキ(Eublepharis macularius)に着目し、網羅的な遺伝子解析と生殖腺の組織解析を行いました。これにより、未解明だった有鱗目の性決定メカニズムについて新たな知見が得られ、他の動物群との比較研究の基盤が築かれました。

研究の進展と結果



温度依存型性決定とは、特定の温度環境下で生物の性別が決まる現象です。ヒョウモントカゲモドキでは、低温でメス、高温でオスが生まれるとされており、この生殖腺の分化がどのように行われるのかを、今回の研究で探求しました。具体的には、異なる温度で孵卵した胚を対象に生殖腺の生理的変化を観察し、さらにRNA-seq技術を用いて、どの発生段階でどの遺伝子が発現するのかを詳しく調べました。

研究結果によると、オスとメスの生殖腺の形態学的な違いは発生ステージ37から現れ始めるものの、RNA解析ではステージ34の段階で早くも性別に関連する遺伝子の発現に差が見られました。特に、精巣形成に関与する遺伝子群の発現が、卵巣形成の遅れを示唆しています。この発見は、爬虫類における性分化のタイムラインを理解するための重要な情報となるでしょう。

トカゲの性別決定メカニズムの詳細



また、温度に対する遺伝子の反応も非常に興味深い結果を示しました。従来、カメやワニでは低温環境で特定の遺伝子が活性化されることが知られていましたが、ヒョウモントカゲモドキでは高温において遺伝子KDM6Bの一過的な発現が確認されました。この結果は、種ごとに性決定に関与する遺伝子がどの温度でスイッチが入るかが大きく異なる可能性を示しています。

環境変化への影響と将来の研究



この研究は、地球温暖化が爬虫類の性比や生態系に与える影響を予測・理解するための重要な基盤を提供します。温度に依存して性別が決まる動物における性分化メカニズムの解明は、生物多様性を保全するための重要な要素となるでしょう。宮川教授は「今後、環境要因がどのように生物の発生運命を決定づけるのか、RNAスプライシングの解析を通じて深く研究していきたい」と意欲を示しています。

この研究の成果は、2026年2月18日に国際学術誌「Developmental Biology」に掲載される予定です。温度依存型性決定に関する新たな発見として、今後の展望が期待されます。


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