株式会社ケミトックスは、東京都大田区に拠点を置く企業で、最近、注目の集まる次世代型太陽光発電技術であるペロブスカイト太陽電池の試作サービスを本格的にスタートしました。従来の結晶シリコン系太陽電池と比較して、このタイプの太陽電池は軽量でフレキシブルであるため、さまざまな場面での活用が期待されています。屋内の弱い光の条件下でも安定した出力が可能で、これまでシリコン系では困難だった曲面の利用や、住宅内での導入も現実味を帯びてきました。
特筆すべきは、ペロブスカイト太陽電池の主要材料の多くが国内生産されている点です。この材料供給の安定性が、地元産業の発展にも寄与することが期待されています。しかし現状では、まだ市販化には至らず、発電効率については研究段階での数値が26%を超えているものの、耐久性や大面積化、品質確保、低コスト化といった様々な課題に直面しています。
ケミトックスは2022年からペロブスカイト太陽電池用のインクジェットプリンタやスピンコーターを導入し、東京大学の瀬川浩司教授との連携を通じて研究開発を進め、現在では再現性のあるサンプル作成が可能となっています。I-V曲線を示す図1では、平均発電効率が19.7%に達しており、技術的な進展が実現しています。
ペロブスカイト型の太陽電池には、発電効率を影響する半導体、耐久性に直結する封止材、バリアフィルム、耐候層など、さまざまな部材の調整が必要です。シリコン系太陽電池よりも軽量でフレキシブルな特性を活用するため、これらの部材を適切に組み合わせた評価用モジュールの開発がケミトックスにとって大きな課題となっています。
試作サービスでは、顧客のニーズに応じて材料を特徴づけ、ペロブスカイト太陽電池セルを作成し、他の技術との比較評価を行います。新事業への参入を考える企業にとっては、非常に有用なマーケティングツールとなることでしょう。
さらに、ケミトックスは最新技術の投入も行っています。新たに導入したLED定常光ソーラシミュレーターとI-Vテスターにより、ペロブスカイト太陽電池の特性をより正確に測定できる環境が整っています。この設備は、太陽光に近い光を照射することができ、屋外での動作状況を再現できる点が特長です。この導入により、結晶シリコン系太陽電池で培ったメソッドを生かし、ペロブスカイト太陽電池における長期的な劣化テストが可能になります。
さらに、100Vまで対応可能な最新I-Vテスターにより、直列モジュールに対するMPPT(最大出力点追従法)による測定も実現されています。これらの革新を通じて、ケミトックスは日本国内のペロブスカイト太陽電池関連産業の成長に貢献することを目指しています。
2026年2月4日には、ペロブスカイト太陽電池に関するウェビナーも予定されています。参加者は、ペロブスカイト太陽電池に関する最新の試作サービスの詳細と評価結果を耳にすることができます。料金は6,600円(税込)で、興味のある方はぜひ参加を検討してみてください。
引き続き、ケミトックスは持続可能な社会を実現するために、ペロブスカイト太陽電池の開発に一丸となって取り組み、その成果を地域社会や日本経済に還元していく方針です。