タイで交通安全を育む新たな試み
トヨタ・モビリティ基金(TMF)と本田技研工業(Honda)は、共同で交通安全を推進するキャンペーン「KUB-DEE-DAI-DEE(良い運転をすれば、良いことが返ってくる)」を始めました。この取り組みは、タイでの交通事故の増加を受け、安全意識を高めることを目的としています。
背景
タイの経済は急速に発展しており、それに伴って交通事故の頻発が問題視されています。特に四輪車と二輪車関係の事故が多くを占めており、若年層が特に多く影響を受けています。これまでにも教育や啓発活動は行われてきましたが、さらなる対策が求められています。
このキャンペーンでは、TMFとHondaが共同でソーシャルメディアやオンラインプラットフォームを活用し、若者へのアプローチを強化します。バンコク都庁との連携もあり、地域に根ざした活動で交通安全意識の定着を目指します。
キャンペーンのアプローチ
「KUB-DEE-DAI-DEE」はタイの伝統的ことわざ「TAM-DEE-DAI-DEE(良いことをすれば良いことが返ってくる)」に基づいています。交通安全を「義務」として捉えるのではなく、積極的に自分や周囲に良い影響を与える行動として捉え直します。これにより、運転中にお互いに思いやりを持つことを促し、日常的に自然な形で安全行動を実践できるようになります。
四輪車のドライバーは、二輪車の存在を意識して死角を確認するなど、日々の運転行動を意識して改善することが期待されています。「KUB-DEE(良い運転)」は交通事故の多発パターンや運転習慣に基づいた具体的な行動を取り入れています。
アートとインタラクティブ体験
今回のキャンペーンの特徴は、タイの新進アーティスト、サラウット・パンヌ氏とのコラボレーションによるキービジュアルの制作です。現代のビジュアルと伝統的なタイのモチーフを融合させたデザインで、若者層の心をつかむ狙いです。
さらに、キャンペーンサイトでは「KUB-DEE-DAI-DEE Generator」というインタラクティブな仕掛けを導入。ユーザーは特設サイトで「KUB-DEE(良い運転)」に基づいた運転行動を選び、オリジナルの壁紙やショート動画を生成してSNSでシェアすることができます。このような経験を通じて、知識を得るだけでなく、自ら行動を宣言し、意識変革を図ります。
さらなる展開
キャンペーンは2025年からバンコクやチェンマイで展開される予定です。SNSや屋外広告、特設サイトなどを通じてデジタル及びオフラインで広報活動を行い、交通安全のメッセージを拡散します。2026年には、トヨタ・モーター・タイランド(TMT)やホンダタイ基金との連携により、さらなる発展が期待されています。
各関係者からは、バンコク都知事やTMFの理事長代行、Hondaの安全運転普及本部の事務局長も交通安全の重要性について言及し、このキャンペーンの意義を述べています。
この新たな運動がどのようにタイの交通文化に影響を与え、安全な道路環境を創出するのか、今後の展開に注目です。