越谷市が高齢者の健康を支える新しい取り組み「きらポ」とは

越谷市が探る高齢者の健康維持の新たなモデル「きらポ」とは

埼玉県越谷市で進められている健康増進事業「きらポ」は、地域内の高齢者が健康的な生活を送るための重要な仕組みとなっています。このプログラムは、ICT技術を活用し、高齢者の日常生活における健康維持をサポートしています。およそ2年前に本格的に始まったこの取り組みは、65歳以上の高齢者を対象にスマートフォンアプリ「脳にいいアプリ」を用いて、日々の健康活動を促進することを目的としています。また、参加者は健康活動に応じてポイントを獲得し、そのポイントはキャッシュレス決済に利用可能な特典に交換できるという利点もあります。

「きらポ」の仕組みとは

越谷市が導入した「きらポ」（越谷きらきらポイント）は、高齢者向けの健康ポイント事業として設計されています。高齢者が歩行や脳トレ、地域のイベントに参加することでポイントが貯まり、そのポイントを通じて日常生活でのメリットを享受できます。この事業は、コロナ禍において高齢者の健康状態が懸念される中、体力や精神的な生きがいの維持をサポートするために立ち上げられました。

市内では、この活動が地域社会を活性化させると同時に、高齢者の介護予防にも貢献しています。具体的には、獲得したポイントはPayPayなどの電子マネーに交換可能であり、地域経済にもプラスの効果を発揮しています。

参加者の反応と成果

「きらポ」事業が始まってから、参加した高齢者からは嬉しい反響が定期的に寄せられています。2025年5月時点で、参加者数は1,751名にのぼり、市内の65歳以上の人口約87,500人のうち約2%がこの事業に参加しています。アンケートによると、71.3%の参加者が「きらポ」を活用することで介護予防へとつながっていると感じているとの結果が出ており、47.7%の方々が「きらポ」が自分の生きがいに繋がっていると答えています。

さらに、参加者の総歩数はおおよそ31億歩に達し、医療費の観点から見ても約1億9千万円の削減効果が期待できるとのことです。このように、日々の健康活動が実際に数値で示されているのは非常に大きな成果です。

高齢者の生活に変化をもたらす「きらポ」

「きらポ」の参加者の中には、日常生活の中で健康習慣が根付きつつあることを感じている方々が多くいます。例えば、「1日ごとのルーティンができ、毎日がより充実するようになった」という声や、「アプリを使うことでデジタル機器への抵抗感が減った」といった意見が寄せられています。また、ポイント対象となるイベントの増加を望む声もあり、高齢者自身が健康を楽しみながら意識的に生活に取り入れることができている様子が伺えます。

地域の期待と今後の展望

越谷市の地域共生推進課の担当者によれば、「きらポ」を通じて、高齢者関連の事業を一元化し、住民の関心を高めることに成功したとのことです。その上で、利用者からは「脳トレの種類を増やしてほしい」などのフィードバックも寄せられており、今後のプログラム改善の参考にされることと思います。また、ポイント交換手段の多様化も検討されており、取り組みのさらなる推進が計画されています。

本事業は、埼玉県全体の健康長寿施策の一環でもあり、越谷市の「きらポ」はその先進的なモデルとして注目されています。今後も地域の健康促進に寄与し、高齢者の生活にプラスの影響をもたらしていくことが期待されます。

まとめ

越谷市の「きらポ」は、高齢者が自発的に健康活動に取り組むための新しい試みであり、地域全体の活性化にも繋がっています。参加者にとっての生きがいを創出し、運動習慣を定着させることは、今後の高齢社会において一層重要な課題です。このプログラムが他の自治体でも似たような健康促進策をもたらすきっかけとなることを願っています。