2025年8月21日、横浜グランドインターコンチネンタルホテルで、日本の独立行政法人国際協力機構(JICA)とアフリカ連合開発庁(AUDA-NEPAD)が新たな協力覚書(MOC)を締結しました。このイベントは、第9回アフリカ開発会議(TICAD9)の一環としてオンラインとハイブリッド形式で開催され、韓国とアフリカ各国の代表が集まりました。
両機関の協力は2004年に始まり、2014年には最初のMOCが誕生しました。その後の10年間で、地域統合や食と栄養の問題解決に向けた様々な取り組みを進めてきました。今回の第5次MOCでは、これまでの五つの分野を基に、さらに12の新たなテーマを設定しました。これにより、アフリカ連合が掲げる「アジェンダ2063」に沿った持続可能な社会の構築が促進されると期待されています。
イベントの冒頭では、JICAの田中明彦理事長とAUDA-NEPADのナルドス・ベケレ=トーマス長官が開会の挨拶を行い、協力関係の重要性を強調しました。田中理事長は「分断が進む現代において、国際的な協力を強化することが求められています。アフリカが革新の象徴として世界での成長を牽引するため、共に力を合わせていきたい」と述べました。また、ベケレ=トーマス長官は、「日本とアフリカの間には、新たなパートナーシップが形成され、共通の挑戦に対応する力が生まれている」と語り、今後の協力への期待を寄せました。
署名式が執り行われると、場内には拍手が響き渡り、両機関の新たな歩みが象徴されました。続いて、JICAの専門家である本間徹長官シニアアドバイザーが基調講演を行い、これまでの協力関係を振り返りながら、得られた成果や展望を紹介しました。特に「HGSアクセラレータ・プログラム」は新型コロナウイルスの経験を活かし、アフリカの人材育成や雇用創出に寄与することを紹介しました。
次に行われたパネルディスカッションでは、アフリカと日本の専門家が登壇し、これまでの協力の成果について議論しました。AUDA-NEPADのアミン・イドリス・アドム局長は「アジェンダ2063に基づく共創の実績が明らかになり、両国の協力は今後さらに拡大していく」と評価しました。ハーシュ・メータ氏は新型コロナウイルスの影響を受けた医療分野の取り組みについて触れ、迅速な対応が可能になったことを報告しました。また、ギデ・クアチュ氏はアフリカ・カイゼン・イニシアティブの導入効果による生産性向上について具体的に語り、その成果を期待させました。
最後に、各スピーカーが今後の目標についての見解を共有し、協力の進展に高い期待を寄せました。閉会の挨拶では、AUDA-NEPADの長官が共創の重要性を再確認し、JICAの理事が支援に感謝の意を述べてシンポジウムは終了しました。今回のイベントは、日本とアフリカが共に「アジェンダ2063」に向けた新たな一歩を踏み出したことを示すものであり、両者の持続可能な発展に向けた道を切り拓く重要な機会となりました。今後もJICAはAUDA-NEPADとの連携を強化し、アフリカと共に未来を創っていく所存です。