次世代通信技術が支えるスマートメンテナンスの未来
2026年4月6日、NTTグループと三菱ケミカルは、IOWN® APNと60GHz帯無線LAN技術を利用した屋外工場のスマートメンテナンスの実証を行った。このプロジェクトは、岡山県の水島臨海工業地域で進められ、従来の通信環境の課題を解決するための重要なステップとなった。
背景
屋外の工場設備の点検作業は、安全性や安定した稼働を維持するために欠かせない。しかし、施設が広範囲に渡る場合、点検作業には多くの工数が必要とされ、さらに高所作業などは作業員にとって大きな負担となっている。また、通信インフラの制約から、スマートメンテナンスの取り組みは十分に進んでおらず、悪循環の状態にあった。
近年ではローカル5Gなど新しい無線技術の導入が検討されているが、免許取得の壁が高く、通信環境の整備は未だに難しい状況だ。このような背景を受け、IOWN® APNとWiGigの活用によって、大容量・低遅延な通信環境を実現することが急務となった。
検証内容
2026年2月に行われたこの実証では、岡山事業所から東京都内のビルまで約700kmを接続するIOWN® APN環境が構築されると同時に、岡山内で約2kmのWiGig無線通信環境も迅速に整備された。この環境により、高速度のデータ伝送が実現され、大容量の映像や音声データの同時取得が可能になった。また、使用されたWiGig技術により、高周波数帯域であっても、移動する物体との通信が確保できたことも確認された。
その結果、屋外環境でのスマートメンテナンス、特に映像解析を基にした異常検知技術の応用が期待される。特に遠隔操作型ロボットに対するAIサポートの可能性が示された。
各社の協力
この実証におけるNTTグループ、1Finity、三菱ケミカルの協力は不可欠だった。NTTグループは、通信環境を短期間で構築し、データの品質検証を実施。1FinityはIOWN® APNのネットワーク技術を提供し、三菱ケミカルは通信環境の機能要件を定義した。これにより彼らは、より高精度で確実な点検技術の開発を進めるための土台を築くことができた。
今後の展望
今後は、さらなる通信環境の高度化と、複数地点での情報収集を可能にするネットワークインフラの整備が求められる。また、マルチモーダルAIを活用した高精度な状態把握が進められ、屋外のスマートメンテナンス基盤がより実用的になることが期待される。これらの取り組みを通じて、未来のコンビナートが実現されることを目指し、NTTグループと三菱ケミカルは尽力していくことだろう。
総じて、IOWN® APNと最新の無線通信技術は、これからの産業界における労働負担軽減や、安全な作業環境の実現に貢献することが期待されている。