高齢者の雇用と住まい探しの実態、LIFULL HOME'Sが調査実施

高齢者の雇用と住まい探しの現状

近年、少子高齢化に伴い、高齢者の就労環境に関する法律が次々に改正されています。株式会社LIFULL（ライフル）が提供する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S」では、2025年4月の「65歳までの雇用確保の義務化」を前に、60～65歳の元会社員1,592名を対象に実施した「高齢者の就労と住まい探しの実態調査」の結果を公表しました。調査の結果、長期的な雇用の確保と住まいの選択肢の拡大が高齢者の生活にどのような影響を与えているのかが照らし出されました。

雇用と住まい探しの相関関係

高齢者が住まいを探す際の大きな課題は、就労状況が直接影響する点です。多くの高齢者は、収入の変化に伴い住居を移動することを余儀なくされます。LIFULL HOME'Sの調査によれば、60歳時の収入が下がったと回答したのは73.9%で、その中でも47.2%が定年後の収入が75%未満になる可能性があるとしています。この結果から、高齢者が直面する経済的な不安が、住居選びにも影響を与えていることが示されています。

雇用状況と住まいの契約

調査の結果、60歳になった際に約78.6%が「以前と同じ会社で勤務」と回答したものの、収入が減少するケースが多く見られました。また、賃貸物件を探す際、56.4%の高齢者が「1か月未満」で契約を済ませたと報告している一方、15.8%は「1年以上」経過したと回答しており、高齢者の住まい探しが思うようには進まない現状が浮き彫りになりました。

さらに、賃貸物件の選択肢が限られる「住宅弱者」としての立場や、不平等を感じた経験も多くの高齢者が持っています。具体的には、候補となる物件が少ないことを指摘し、その割合は37.1%に達しています。不動産市場における優位性が若年層に偏る中、高齢者が選択肢を増やすためには何が必要なのでしょうか。

法改正の影響と課題

2025年4月から施行される法改正により、企業は定年年齢の引き上げや、希望者を全員雇用することが義務付けられる一方で、高年齢雇用継続給付も縮小されます。これは高齢者の生活基盤に直接影響すると考えられており、特に住宅探しにおける不平等感を深める可能性があります。LIFULL HOME'Sの事業責任者である龔軼群（キョウイグン）さんは、この法律改正が高齢者にとってポジティブな要素になる一方、収入減少の懸念もあると述べました。

まとめ

高齢者が安心して就労し、適切な住居を見つけるためには、社会全体での再考が必要です。LIFULL HOME'Sが提供するサービスは、高齢者が便利に住まいを探すための支援を行っており、全国6,000以上の賛同店舗が高齢者の住まい探しをサポートする体制を整えています。高齢者の生活の質を向上させるためには、居住環境の改善と就労支援の両面で取り組む必要があるでしょう。今後も、この問題に対する意識を高めていくことが大切です。