ライブリバントとラズクルーズ併用療法、非小細胞肺がんの新たな治療可能性を示す
2023年10月27日、ヤンセンファーマ株式会社(Johnson & Johnsonの医療用医薬品部門)は、EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がん(NSCLC)における新しい治療法の潜在性を示す重要なデータを発表しました。
このデータは、国際共同で行われた第III相MARIPOSA試験に基づくもので、アジア人においての先進的な治療アプローチを探るものです。この研究では、EGFR遺伝子のエクソン19欠失またはL858R置換変異を有する患者に対する、ライブリバント®(アミバンタマブ)とラズクルーズ®(ラゼルチニブメシル酸塩水和物)の併用療法が調査されました。
重要な結果の概要
本試験の結果、ライブリバントとラズクルーズの組み合わせによる治療は、治療中止までの期間および二次治療後の病勢進行までの期間(PFS2)において改善傾向を示しました。具体的には、ライブリバントとラズクルーズ併用群の全生存期間(OS)の中央値は4年以上に達し、オシメルチニブ単剤群を1年以上上回る見込みが示されています。
治験責任医師である近畿大学医学部の林秀敏教授は、「この併用療法は腫瘍の増殖に関わるEGFRとMETを同時にターゲットにし、さらに免疫系を活性化することによって長い生存期間を実現しています。特に、アジア地域ではEGFR変異が多く見られるため、この新しい治療法は患者の治療成果を大きく向上させる可能性があります」と述べています。
アジアにおけるEGFR変異の現状
アジアでは、EGFR遺伝子変異を持つ患者が世界で最も多く、頻度は30~40%に達しています。この一方で、約30%の患者は二次治療に至ることなく初回治療の選択が重要であるとされています。特にアジア人におけるNSCLCは、治療の選択肢が限られており、本研究が提供するデータは新しい希望をもたらすものです。
MARIPOSA試験の詳細と結果
MARIPOSA試験は、EGFR遺伝子エクソン19欠失またはL858R置換変異をもつ局所進行性または転移性NSCLC患者を対象にした無作為化国際共同第III相試験です。この研究には501人のアジア人患者が参加し、治療期間は中央値で38.7ヶ月に達しました。ライブリバントとラズクルーズの併用療法群では、PFS2は未到達であるのに対し、オシメルチニブ単剤群では中央値34.2ヶ月でした。
また、TTDの中央値は併用療法群が27.9ヶ月であるのに対し、オシメルチニブ群は23.2ヶ月でした。さらに、併用療法群はオシメルチニブ単剤群と比較して死亡リスクが26%低いという結果も示されました。
安全性のプロファイル
併用療法の安全性についても評価され、新たな安全性のシグナルは認められませんでした。主に観察された有害事象には、発疹(18%)、ざ瘡様皮膚炎(9%)、爪囲炎(9%)が含まれています。
今後の展開
ライブリバントとラズクルーズの併用療法は、アジア太平洋地域において米国や欧州で承認を受けており、今後さらなる治療選択肢の拡大が期待されます。特に日本では、これらの治療法が承認されることで、多くの患者に新たな治療の機会がもたらされるでしょう。
この新しい併用療法がもたらす将来の恩恵を期待しつつ、さらなる研究が必要とされています。今後の臨床的な成果が、より多くの患者にとっての光明となることを願っています。