グローバルな学びを支える新たな通信手段
国際教育機関のEF(イー・エフ・エデュケーション・ファースト)が、企業におけるハイブリッドワークの新モデルを提唱しました。日本国内に多くの拠点を持つEFは、運営効率向上とチームの結束力を高めるために、空間拡張ビデオポータル「tonari」を導入しました。この技術によって、移動を伴わず、出社以上の一体感を実現する新しい働き方が可能になりました。
tonari導入の背景
リモートワークの定着に伴い、チーム内でのコミュニケーションは不可欠となっていますが、従来のビデオ会議では新たな課題が浮上しました。相手の表情や空気感が伝わりづらく、雑談も減少することによって、心理的距離感が生じがちです。そんな中、EFは留学体験に根ざした「人と人とのつながり」を重視し、その価値観を組織のコミュニケーションに活かす方法を模索しました。
その結果、EFが採用したのがtonariです。このポータルは、床から天井までの大型スクリーンと高精度な音響を備えており、ほぼ遅延のないリアルなコミュニケーションを可能にします。これにより、リモートでも「その場にいるかのような感覚」を得ることができます。
tonari導入後の変化
EFとtonariは、東京と名古屋の拠点を対象に、導入後の効果を検証するために社内調査を実施しました。その結果、遠隔環境におけるコミュニケーションの質に顕著な変化が見られました。特に、相手との距離感を「近く感じる」と答えた社員が、導入前の27%から90%に増加。一緒にいるかのような視覚的なつながりが、自然な会話を生み出し、心理的距離を縮める効果が実証されました。
普段の業務においても、tonariを使うことで相談のしやすさが向上し、雑談も活発化し、一体感が生まれています。「離れた場所にいるけれども、気軽に声をかけることができる」環境が整い、コミュニケーションがよりスムーズに行えるようになりました。課題だった家庭との両立も視野に入れつつ、つながりを維持できる環境が整ったことは大きな成果です。
今後の展望
EFの代表、伊東グローニングは「物理的な距離を縮めることは大切だが、最終的には『会いたい』という気持ちが重要だ」と強調します。また、tonariの共同創業者Taj Campbell氏も「tonariは対面の価値を理解するツールであり、人々をつなぐための技術」と述べています。EFとtonariのコラボレーションによって、今後も新しい働き方のモデルを国内外に発信していくことが期待されます。
本物の留学体験を学生に届けるために、さらに柔軟で人間的な働き方を進めていくEFの未来に注目です。この技術が、どのようにグローバルな教育と組織運営に寄与するのか、次なるステップにも期待がかかります。