銀座英國屋が目指す持続可能なファッションの未来とは

東京都中央区に位置するオーダースーツ専門店、銀座英國屋は、常にお客様の思いを大切にしながらファッションの新しい流れを作り出しています。2015年から株式会社JEPLANと連携し、スーツリサイクル活動を実施してきた同店は、年間200着ペースでのスーツ回収を達成しました。この取り組みは、ただのリサイクルではなく、衣服に込められた感情や物語を次に紡ぐ意味深い活動です。

大切なスーツをどうにかしたい

お客様から寄せられる声には、特別な思い出が詰まったスーツに関するものが多く見受けられます。故人が愛用していたスーツや、人生の大切な瞬間に身につけた一着への愛着など、その思いは計り知れません。「捨てるには忍びない」「どうすればよいのか分からない」といった悩みは、実に共感を呼ぶものです。そうした背景が、銀座英國屋がこの取り組みを行う理由となっています。

意義のあるスーツリサイクル

回収されたスーツは、JEPLANのサプライチェーンを経て、様々な形でリサイクルされます。特にウール素材のスーツは、繊維のマテリアルリサイクルに活用され、自動車の内装材など新しい商品として生まれ変わります。このように、スーツのリサイクルはお客様自身の「捨てられない」という気持ちを尊重しつつ、社会にも貢献するものとして評価されています。お客様からも「このサービスは安心して任せられる」といった賛同の声が寄せられています。

低廃棄率を実現

銀座英國屋は、ファッション業界における大量廃棄問題に対し、製品廃棄率0.1%以下という驚くべき数字を実現しています。この数字は、持続可能なファッションを追求する上での強い証拠です。さらに、創業以来80年以上にわたり、最高の品質を提供し続けてきた同店は、お客様に一着のスーツを20年も愛用していただけることもあります。

未来に向けた「人的サステナブル」

銀座英國屋の3代目社長、小林英毅氏は、企業の役割として「人的なサステナブル」という視点を提案しています。社内の環境を働きやすいものとするだけでなく、社員一人ひとりが成長し、どのように仕事にやりがいを感じられるかを重視しています。平均年収525万円という数字は、アパレル業界の130%を上回る水準で、職場環境の良さを物語っています。従業員の成長をサポートする制度を整え、離職率ゼロを実現している点も見逃せません。

伝統と革新が共存する場

銀座英國屋は、オーダースーツ店としての特性を生かしながら、従来の枠にとらわれない取り組みを行っています。お客様の体型や趣向に合わせたフルオーダーメイドを提供する一方で、若手の育成にも注力し、職人の技術と経験を次世代に受け継いでいます。また、無償のオーダー体験を通じて、顧客に安心感を提供し、接客の敷居を下げる工夫もされています。

結論

銀座英國屋は、スーツリサイクル活動を通じて持続可能なファッションの実現に向けた挑戦を続けています。単なる衣服の販売にとどまらず、お客様の思いを大切にし、社会全体に豊かさをもたらすことを目指すその姿勢は、他のファッションブランドにも強い影響を与えることでしょう。同店の取り組みは、ファッション業界の未来を見据えた一つの模範となるはずです。