研究背景と目的
近年、関節リウマチに苦しむ患者の生活の質(QOL)に注目が集まっています。関節症状に加え、倦怠感や不眠、抑うつなど、多岐にわたる影響が患者の日常生活に影響を及ぼすことが知られており、これまでの評価方法では把握しきれないこのような変動を適切に捉えられる手法が求められていました。
そこで、テックドクターと慶應義塾大学医学部内科学教室(リウマチ・膠原病)が主導するこの研究では、ウェアラブルデバイスでのデータ取得を通じて、関節リウマチ患者107名を対象に、日常の生体データとQOLを評価する新たな手法の確立を目指しました。
ウェアラブルデバイスの利用方法
本研究の中で使用されたのは、リストバンド型ウェアラブルデバイスである「Fitbit Sense2」です。このデバイスを通じて、身体活動や睡眠データ、心拍変動(HRV)の情報を継続的に収集しました。これに重ねて、QOL評価指標「EQ-5D」や倦怠感指標「FACIT-F」、「BFI」との関連性を分析し、機械学習を用いて主観的な状態を客観的に推定することを試みました。
主な研究成果
1.
QOL指標との関連性
発表された結果によれば、日中および睡眠時のHRVがQOL指標「EQ-5D」と有意に関連していることが確認されました。特に、移動能力や日常活動の項目との相関も見られ、ウェアラブルデータからQOLを評価する検討が進んでいます。分けて構築した機械学習モデルは、高好成績でAUC-ROC値が0.75〜0.89という結果を示しました。
2.
倦怠感指標との関連性
また、倦怠感関連の指標「FACIT-F」および「BFI」にも焦点を当てた分析が行われ、各指標ともにウェアラブルデバイスのデータと相関があることが確認されました。特に、重度の倦怠感を抱えている患者群と非重度群を分類する際の精度が高く、FACIT-FモデルでROC-AUC 0.88、BFIモデルでROC-AUC 0.82といった結果を見せました。
このように、この研究によりウェアラブルデバイスが関節リウマチ患者の日常生活の評価において、どのように寄与するかが明らかになりました。ウェアラブルデータが主観的な症状を客観的に把握するツールとして利用される未来が期待されます。
社会的意義
この研究が示すのは、臨床現場においてウェアラブルデバイスがもたらす可能性です。従来の評価方法による限界を克服し、患者モニタリングや疾患管理、治療効果の評価において重要な役割を果たせるでしょう。現代の医療において、より患者中心のアプローチが求められる中で、テックドクターはこれからもこの分野の研究を推進していく所存です。
今後の展望
関節リウマチの治療において、ウェアラブルデバイスの活用は今後ますます重要となるでしょう。テックドクターは引き続き、医療機関や製薬企業、研究者と連携し、デジタルバイオマーカーの実用化を目指し、より良い医療環境の実現に寄与していく考えです。これにより、患者一人ひとりがより快適で充実した日々を過ごせるよう支援していきます。