中小企業の人的資本経営への取り組み現状と今後の展望
2023年度の調査によると、中小企業の人的資本経営への認知が進み、多くの企業がその価値を見出し始めています。「新しいあたりまえ」で新しい世界を創造する企業、株式会社フォーバルが実施した調査から得られた最新データを基に、中小企業の人的資本経営の現状を探ります。
認知度の向上
最近の調査によると、中小企業の37.4%が人的資本経営について認知していると答えました。これは前回の調査結果よりも10ポイントの大幅な増加であり、この傾向は今後も続くと予想されます。中小企業の経営者が「人的資本」をどのように理解し、活用しようとしているかを知ることは重要です。
- - 「知っており、他の人に説明できる」企業は8.0%
- - 「知っているが、説明できるほどではない」は29.4%
認知度の向上は、経済産業省の施策や新たな報告書が引き金になっていると考えられます。
取り組みの実態
人的資本経営に実際に取り組んでいる企業は27.2%に達し、これもまた前回調査より増加しています。この取り組みは「十分取り組めている」との回答が3.3%、また「ある程度取り組めている」が23.9%です。特にこの数値は、認知度が上昇したことに伴って実際の行動に移る企業が増加していることを示しています。これにより、企業は人的資本の活用による持続可能な成長へと確実に向かっています。
効果の実感
人的資本経営に関わる企業の半数以上が、その成果を実感しています。「人材強化やモチベーションのアップ」を実感した企業は74.4%にも上ります。経営者の中でも、現場でのモチベーション向上や能力開発が実際に利益に貢献していると感じているようです。
また、競合優位性の構築や売上拡大においても、50%を超える企業が一定の効果を報告していますが、人材強化に比べるとやや低い結果になっています。
課題と提案
一方、人的資本経営に取り組む際の課題として、時間や費用、専門人材の不足が挙げられます。これらの問題は、特に経営資源が限られた中小企業にとって、自らの経営ビジョンへの組み込みを難しくしています。しかし、経営層と現場との距離が短い中小企業の特性を活かし、少しずつでも実行に移すことで大きなメリットを享受できる可能性があります。
多様な人材の雇用やITツールの導入、ハラスメント禁止に向けた取り組みを統合的に進めることで、社員のエンゲージメントを高め、企業としての競争力を強化することが求められます。
結論
本レポートを通じて、中小企業における人的資本経営の現状が明らかになりました。認知度や取り組み状況が着実に進展している一方で、上場企業に比べるとその数値は低いのが現実です。それでも、多くの企業が人的資本の重要性を認識し、効果を実感していることは、今後のビジネスにおける新たな希望となるでしょう。経営者が今後も積極的にこの領域に取り組むことで、持続可能な成長が実現できると考えられます。
この調査の詳細については「BLUE REPORT」をご覧ください。
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