EV充電環境の進化──J.D. パワーが明らかにした最新データ
米国の電気自動車(EV)市場は、公共充電インフラの向上に関する最近の調査結果から、顧客体験の向上が進む中でも課題が残ることを示しています。J.D. パワーが調査した2025年の「EVエクスペリエンス(EVX)公共充電調査」によれば、EV所有者の満足度には不満が見られる一方で、充電の信頼性は大きく改善しています。
調査の背景と目的
この調査は、米国におけるAC普通充電(レベル2)及びDC急速充電に関連する顧客のフィードバックを収集し、その結果を基にサービス向上の方策を探ることを目的としています。今年で5回目の行われたこの調査は、バッテリー式電気自動車(BEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)を所有する7428人を対象にしています。
充電に関する満足度の変化
調査によると、DC急速充電器の顧客満足度は前年より10ポイント減少して654ポイント、AC普通充電では607ポイントで前年比7ポイントの低下を見せました。特に、両者ともに充電コストに対する満足度が顕著に低下しています。テスラ以外の車両所有者が利用する際には、発生するコストに対する満足度が低くなる傾向が強いようです。
EV充電インフラの現状
公共充電ステーションを訪れた際に充電を断念するケースが過去4年間で最も低くなっていることは、充電の信頼性向上を示しています。2024年に比べ、非充電訪問の割合は14%にまで減少しました。これが示すのは、充電設備の故障率が低下していることです。
地域による充電状況の違い
地域差も顕著で、米国の太平洋地域では非充電訪問が21%と最も高く、逆に東南中部地域では7%と低い値を示しました。特に都市部では、シアトルとロサンゼルスでの非充電訪問が目立っています。
初めてのEV所有者とベテラン所有者の満足度
驚くべきことに、初めてEVを購入した所有者の満足度は、長年の所有者よりも高いという結果が出ています。このことは、技術の進化に対する期待の差が影響していると考えられています。
J.D. パワーの洞察
J.D. パワーのエグゼクティブディレクター、ブレント・グルーバー氏は、「NEVIプログラムの資金援助がなくとも、業界全体が顧客体験の向上に向けて協力しており、公共充電ステーションの信頼性が改善されつつある事実は前向きな進展である」と述べています。今後も、充電速度の向上だけではなく、全体的な充電環境の改善が急務であることが強調されました。
まとめ
電気自動車の普及に伴い、充電インフラの改善が求められています。充電コストや設備の信頼性等、顧客が直面している課題を解決することで、さらなる満足度の向上が期待されます。今後のEV市場において、J.D. パワーの調査結果は重要な指針となるでしょう。