介護業界の求人動向分析:需要急増と資格不問の求人増加
現状と背景
現在、少子高齢化の影響を受けて、介護が必要な高齢者の数が増加しています。一方で、労働人口は減少傾向にあり、結果として介護業界は深刻な人手不足に直面しています。株式会社フロッグが発表した「2025年6月度 介護職動向レポート」によると、介護職の求人件数は2025年までに約42.53%の増加が見込まれ、特に資格不問の求人は約1.61倍に増加するとのことです。
このような変化がなぜ起こっているのでしょうか。日本経済新聞によれば、介護施設では業務の標準化が進んでおり、専門的な知識がなくてもできる業務とそうでない業務の分担が進められています。これは、需給のバランスを取るための努力とも言えるでしょう。
求人件数の推移
2019年から2025年にかけての介護関連の求人動向を見てみると、全体の求人件数が152,117件から216,809件へと64,692件の増加を示しており、これは約42.53%の増加を意味します。
特に、正社員・契約社員としての雇用形態は2020年1月に一時的に減少したものの、その後は増加傾向を見せています。一方、アルバイト・パートとしての求人は、コロナ禍にも関わらず高い上昇率を維持し、多様な働き方を希望する人材を受け入れやすいことが伺えます。
賃金の動向
賃金面でも変化が見られ、正社員・契約社員の平均月給は182,764円から216,249円と、18.32%の増加がありました。一方、アルバイト・パートの平均時給も1,003円から1,202円に達し、19.84%の上昇を記録しています。
資格による条件の変化
これと同時に、応募条件にも変化があらわれています。資格不問の求人が増加傾向にあり、2019年以降は有資格の求人よりも資格不問の求人件数が大きく伸びています。この背景には、介護職に求められる業務の中で清掃や洗濯などの資格が不要な仕事が増えたことが大きいと言えるでしょう。
分業化の進展
介護業務には資格が必要な業務と、そうでない業務があります。近年、特に資格を必要としない「清掃」や「洗濯」などの業務が分業化され、資格不問の求人に記載される割合が増加しています。それぞれの業務の仕事内容を見てみると、清掃業務は資格不問の求人が増加していますし、洗濯業務においても同様の傾向が見受けられます。
まとめ
以上の分析から、介護職の需要はコロナ禍を経ても高い水準で維持されていることが確認できました。特にアルバイト・パートの求人が増加傾向にあり、賃金面でも改善が進んでいます。
また、資格不問の求人が増え、資格なしでも担当できる業務が明示されることで、より多様な人材を迎え入れようとする動きが強まっています。今後も介護業界はこのような柔軟な採用を通じて、人手不足の解消を図っていく必要があります。利用者のニーズに応じた人材確保のためには、これらの求人ビッグデータを活用した戦略的なアプローチが求められると言えるでしょう。