東京科学大学発の新ベンチャー、Lead accelが設立！次世代エネルギーへの挑戦

新たなビジョンを持つLead accelの誕生

2025年8月、東京都港区に新たなベンチャー企業、株式会社Lead accelが設立されました。設立者は東京科学大学総合研究院の准教授、近藤正聡氏です。Lead accelは、東京科学大学の研究成果を基にした企業として、同大学から「東京科学大学認定ベンチャー」の称号を授与されています。

加速器駆動型未臨界炉(ADS)の可能性

Lead accelが注目するのは、加速器駆動型未臨界炉（ADS）です。現在、世界には約400基の原子炉が稼働しており、これに伴い多くの原子力のゴミが発生しています。このゴミを処理するためには、何万年もの間管理し続ける必要があり、大きな社会的課題となっています。しかし、ADSを活用することで、これらの高レベル放射性廃棄物を効率的に処理できる可能性があるのです。

ADSは、陽子加速器と液体重金属ターゲットを組み合わせた未臨界炉です。ここでは、加速された陽子が液体重金属ターゲットに照射されることで、核破砕反応が引き起こされます。この反応により大量の中性子が放出され、未臨界状態で高濃度のマイナーアクチニドを含む核燃料を核分裂させることができるのです。このプロセスによって、原子力のゴミをより短期間で消滅させることが期待されています。

20年以上の研究成果

東京科学大学は20年以上にわたり、液体重金属ターゲットに関する研究を続けてきました。液体重金属の腐食性は長年の課題ですが、東京科学大学では酸素の量を制御し、優れた保護性能を持つ酸化被膜を形成する技術を確立しました。この技術は、Lead accelがADSの社会実装を推進する際の基盤となるでしょう。

資金調達と事業展開

Lead accelは、創業前からベンチャーキャピタルANRIの鮫島昌弘氏と連携し、事業構想を練り上げてきました。この取り組みが評価され、Greater Tokyo Innovation Ecosystem（GTIE）のGAPファンドプログラムに採択されました。さらには、ANRI-GREEN1号投資事業有限責任組合からの資金調達にも成功し、ADS実現に向けたさらなる開発を進めることとなります。

投資家からの期待

ANRIの鮫島氏は、加速器駆動型未臨界炉に挑む新しい企業が日本から誕生したことを嬉しく思っていると語っています。原子力を適切に処理することは、カーボンニュートラル社会の実現に向けた重要な一歩であると信じており、Lead accelの取り組みに大きな期待を寄せています。

Lead accelの今後に注目

Lead accelは、加速器駆動型未臨界炉に関する研究開発、建設、運営、核変換処理など、幅広い事業を展開していきます。現在の課題を乗り越え、持続可能な未来を切り開くこの新たな企業が、どのように社会に貢献していくのか、その動向に目が離せません。

詳細な情報や最新のニュースは、公式ウェブサイト（Lead accel）をご覧ください。