藤巻亮太が贈る感謝のライブ「THANK YOU LIVE 2025」レポート

2025年3月9日、春の陽ざしがもうすぐ訪れる山梨県甲府市のYCC山梨県民文化ホールで、藤巻亮太の「THANK YOU LIVE 2025」が開催されました。このライブは、名曲「3月9日」をテーマにした恒例イベントであり、昨年は東京で行われたものの、今年は藤巻の故郷である山梨での開催。まさに原点回帰の舞台となったこのライブは、新しい「3月9日」の物語の始まりを感じさせるものでした。

ホールの音響は素晴らしく、1曲目の「紙飛行機」から藤巻の声が会場いっぱいに響き渡ります。バンドのメンバーが一丸となって演奏し、観客を引き込む喜びに満ちたパフォーマンスが繰り広げられました。「Weekend Hero」から「ハロー流星群」へ続く疾走感はとても爽快で、藤巻とベースの御供信弘が向かい合い楽器での対決を繰り広げる姿は圧巻。まさに、藤巻亮太を中心とした5人のバンドによる一体感を感じました。

地元のファンたちの温かい歓迎に包まれ、藤巻は「THANK YOU LIVEはみなさんへの感謝を伝えるライブです。地元・山梨で開催できることが本当に嬉しいです」と語ります。続いて披露されるのは、「旅情を感じる」ことをテーマにした3曲。「ドッグイヤー」からの流れは、歌詞が地球全体に広がっていくかのような藤巻らしいスケール大きな旅情ソングです。音のバランスが良く、歌詞もクリアに聴こえ、観客はその世界に引き込まれている様子。

この日は、バンドのメンバー全員がMCに参加する珍しい状況も見られました。寒さが続く中でのライブですが、特別なコーナーとして、新曲「真っ白な街」を初披露。東京の風景を描いたこの曲は、軽快なリズムに切ない別れの情感が込められており、感情豊かなパフォーマンスとなりました。そして、「粉雪」へと続く流れの中で、音楽の美しさを余すところなく感じさせられました。

後半に入るとライブはさらに盛り上がります。「桜の花が咲く頃」という新曲が紹介され、SNSでも話題になりそうな演出が施されました。この曲は別れと出会いの交錯が歌われており、藤巻の心からのメッセージが込められています。続く「南風」や「ゆらせ」の演奏では、観客が一斉に立ち上がり、手振りやダンスで一体感を楽しみます。

ライブのクライマックスは、なんと言っても「3月9日」。この曲が生まれた故郷である山梨で歌われるその瞬間、藤巻の心の内にある思いや、観客それぞれのストーリーが重なり合う感動的な場面に。心に響く演奏の後、熱烈な手拍子の中でアンコールに応える藤巻は、レミオロメン時代の「ありがとう」を歌い上げます。最後に届けられたのは、ニューアルバムのタイトル曲「儚く脆いもの」で、生命の尊さをまっすぐに歌ったこの曲は、観客に強いメッセージを届けました。

フィナーレには、メンバー全員が手を繋ぎ応えた姿に惜しみない拍手が送られ、心温まる時間が続きました。藤巻亮太の「THANK YOU LIVE 2025」は、ファン、バンド、楽曲、そして藤巻自身、全てが躍動感に溢れた幸せな2時間だったと言えるでしょう。来年もまたこの日、どこかで会えることを願って。