LiberawareとAlpha AIによる業務提携の背景
千葉県千葉市に拠点を置く株式会社Liberawareは、業務拡大を目指して香港に本社を持つAlpha AI Technology Limitedとの包括的な業務提携覚書を締結しました。この提携によって、両社の技術を結集し、インフラ点検の新たなソリューションを共同開発しようとしています。
提携の目的と背景
特に注目すべきは、香港のインフラ老朽化の問題です。香港政府は、築50年を超える建物が全体の約2割を占めているとするデータを発表しています。2030年には、これが約14,000棟に達する予測も出ています。これに対処するため、政府は「Mandatory Building Inspection Scheme(強制建物検査制度)」を導入し、築30年以上の建物に点検を義務付けることを決定しました。
また、香港政府が進める「低空経済」の推進により、ドローンを利用したインフラ点検や監視の重要性が増しています。Alpha AIは、政府と強力な連携を築きながら、独自のAI技術を活用したドローンによる点検サービスを展開してきました。
LiberawareとAlpha AIの技術融合
一方、Liberawareは自社独自の狭小空間点検ドローン「IBIS2」を開発し、デジタルツイン技術においても一定の実績を持っています。この新たな提携によって、Liberawareの狭小空間点検技術とAlpha AIの屋外インフラ点検技術が融合し、外部環境を含む包括的なインフラ管理が可能になると期待されています。
主な提携内容
1. 共同事業機会の探索
両社は香港政府主導のインフラ保全事業に共同で参画し、実証実験を通じて新たな市場機会を模索することを計画しています。営業・技術ネットワークを活かし、技術の組み合わせによる新プロジェクトの創出を目指します。
2. 統合インフラ点検ソリューションの開発
IBIS2を活用した点検ソリューションの提供も重要な柱です。Alpha AIの屋外点検技術とLiberawareの屋内点検技術を組み合わせ、包括的なデータ取得サービスを構築します。
3. 技術者交流プログラムの実施
エンジニアや技術者の相互派遣制度も導入し、スキルや知見の共有を図ります。Alpha AIのAI技術をLiberawareの点検データに応用することで、新たな価値を創出することを目指します。
今後の展開
この提携のもとで、両社は香港において実証実験を行い、得られたデータをもとに3Dモデリングを構築します。さらに、AI技術による自動検知機能を導入し、インフラの点検精度向上を目指します。行政関連施設の点検を進めることで、政府が推進する義務点検の標準化規格への採用も視野に入れています。
企業の紹介
Alpha AI Technology Limited
Alpha AIはAI技術を用いたドローンによる建物の自動点検サービスを手掛けており、香港のインフラ点検市場で活躍しています。代表のDesmond Hoは、英国のケンブリッジ大学で都市計画を学び、若手リーダーとしての実績もあります。
株式会社Liberaware
Liberawareは、狭小空間専門のドローン開発を行い、点検・維持管理ソリューションを提供している企業です。「見えないリスクを可視化する」ことを使命に、安全な社会の実現に向けて日々努力しています。
おわりに
LiberawareとAlpha AIの提携は、インフラ点検分野に革新をもたらす可能性があります。両社の技術融合が、新たな事業機会を創出し、より安全で高品質な都市空間の実現へとつながることを期待しています。