朗読劇レポート
2025-09-14 10:14:17

朗読劇『成瀬は天下を取りにいく』公演レポートとキャストの魅力

朗読劇『成瀬は天下を取りにいく』初日公演のレポート



2023年に出版された宮島未奈の人気小説が舞台化され、2025年9月13日から15日まで草月ホールで朗読劇『成瀬は天下を取りにいく』が上演されました。本作は本屋大賞を受賞し、シリーズ累計150万部を超える社会現象となった作品で、静かな始まりから熱気が高まる様子は、物語そのものを象徴しています。

物語の主人公、成瀬あかりを演じた岩田陽葵は、そのキャラクターの強烈な個性を見事に表現しました。彼女の声にはまっすぐな情熱と繊細な感情が宿り、特に静かなシーンにおける決意や他者との距離感を自然なトーンで伝える力は圧巻でした。「島崎、わたしはお笑いの頂点を目指そうと思う」という一見突飛な宣言にも、観客は自然に心を寄せられる魅力を持っていました。

一方、成瀬の親友で演じる島崎みゆきを務めた紡木吏佐は、成瀬の奔放な行動を優しく受け入れる一貫した演技で観客の共感を呼び起こしました。彼女の声には、自然な親しみがあり、それが物語のリアリティを一層引き立てています。成瀬とのやり取りには友情の温かさが感じられ、舞台全体に優しい空気が広がっているようでした。特に成瀬との「ボケとツッコミ」的な掛け合いは、この朗読劇の大きな魅力の一つでした。

また、西浦航一郎役の梅田修一朗も注目すべき存在でした。普通でありながらも、その存在感と細やかな演技力でストーリーに深みを与えました。成瀬あかりの無邪気さに衝撃を受けつつ、彼自身も成長していく過程が丁寧に描かれており、声の演技だけで感情の変化がしっかりと伝わってきます。

今公演の演出を手掛けた野坂実は、シンプルな舞台に複雑な人間ドラマを織り込む才能を持つ演出家です。本作でも、彼の特有のリアリズムがしっかりと発揮されており、声だけで織りなす世界観が非常に美しく表現されていました。さらに朗読劇専用に書き下ろされたオリジナル音楽が、各場面を細やかに彩り、物語をさらに引き立てます。

公演後のアフタートークでは、岩田、紡木、梅田の三人がそれぞれの思いを語り、観客と感動を共有しました。岩田は原作の強い人物像に対して戸惑いを感じたと述べ、客席からの暖かい拍手を受け取り嬉しそうに微笑んでいました。メンバーはお互いの演技や即興的なやり取りの重要性についても語り合い、作品の新たな一面を楽しむことができるとの期待感が伝わるトークが展開されました。

この朗読劇は友情や成長、個人の挑戦といったテーマを繊細に扱い、多くの観客に勇気を与える感動的な体験を提供します。終演後のロビーには、「勇気をもらった」という笑顔があふれていました。これからの公演も含め、多くの人々にこの舞台が届くことを心から願っています。


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