新マルチコアファイバ技術
2025-03-27 14:12:55
非圧縮8K映像を可能にした新しいマルチコアファイバ技術の革命
非圧縮8K映像を可能にした新しいマルチコアファイバ技術の革命
テレビ放送や映画において急速に普及している8K映像。しかし、その美しい映像を実現するためには大量のデータ伝送が求められ、特に非圧縮8K映像の場合、1映像あたり毎秒約70ギガビットのデータが必要とされます。これまでのシングルモードファイバでは、カメラ1台あたりに1本のファイバを使用するため、カメラを多数用意する場合は多くの光ファイバケーブルが必要でした。このため、建物内や間の狭い配線スペースにおいては、8K映像システムの導入が大変難しいとされていました。
新たに開発されたマルチコアファイバ技術
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)、アストロデザイン株式会社、株式会社フジクラが共同で開発したのは、4コアの標準外径マルチコアファイバを8本搭載したマルチコアファイバケーブルです。この技術によって、極めて小さなスペースでシングルモードファイバ32本分に相当するデータの大容量伝送が可能になり、情報配管のスペースが限られた現代の建物での8K映像システムの導入が現実のものとなります。
この4コアマルチコアファイバは、普通のシングルモードファイバと同じ外径を持ちながら、複数のコアを内蔵することで、ケーブル内でのデータ伝送容量を大幅に向上させている点が特徴です。特に、コア同士の干渉を抑えるために最適化された設計により、信号品質も保たれています。
非圧縮8K映像システムへの実装
マルチコアファイバ技術を導入した新システムは、クリーンルームに設置された複数の8Kカメラから、300メートル先にある映像合成装置へと大容量の映像データを安定的に伝送し、リアルタイムで高画質の映像監視が実現されました。これにより、8K映像の持つ高精細性が監視業務や遠隔医療、航空機シミュレーターなど様々な分野に応用される道が開かれました。
多重分離器と低損失接続技術
また、今回のプロジェクトにはマルチコアファイバ用の多重分離器が組み込まれています。この多重分離器は、各コアとシングルモードファイバとの接続を非接触で行える画期的なもので、結合誤差を極小化し、信号損失をさらに減少させる効果があります。この技術により、多様なコア数やコアピッチでも柔軟に対応することが可能となり、今後の研究開発においても応用範囲の拡大が期待されます。
今後の展望と関連機関の役割
NICTが全体システムデザインの統括を行い、アストロデザインが8K映像システムを開発、フジクラがマルチコアファイバの開発を担当しました。これらの協力により、8K映像の新規導入が進むことが期待されています。将来的には、さらに高密度化や送受信装置の小型化を目指した研究も進められるとのことです。
新しいマルチコアファイバによって、狭い場所での大容量データ伝送が可能となり、8K映像システムの実用化が一段と進むことでしょう。これにより、映像表現の幅が広がり、我々が体験する世界がどのように進化するのか、目が離せません。