鉄・銅・銀複合粉末の新展開
国立研究開発法人産業技術総合研究所と韓国国立釜慶大学校が共同で、強磁性かつ高導電性を兼ね備えた「Fe-Cu-Ag複合粉末」を開発しました。この金属粉末は、特に半導体テストソケットの導電性フィラーとしての利用が期待されており、半導体検査の信頼性向上に寄与することでしょう。
微細粉末の合成法
研究では、ガスアトマイズ法と熱プラズマ法という二つの先進的な手法を駆使しました。ガスアトマイズ法では、液化した金属を高速で噴霧し、その後急速に固化。これによって、平均粒径50 µmのマイクロサイズの粉末が生成されました。さらに、熱プラズマ法では、金属を超高温プラズマにかけて蒸発させ、それを冷却することによって、平均粒径100 nmのナノサイズの粉末が得られるのです。
このアプローチにより、微細構造を持つFe-Cu-Ag複合粉末の特性評価が行われ、従来のニッケル粉末と比較して、優れた導電性と機械的強度が確認されました。特に、Feが中心となり、CuやAgがその周囲に分散することで、強磁性を維持しつつ高い電気伝導性を発揮するという特性が明らかになったのです。これにより、半導体テストソケットにおいて必要となる接触抵抗の低減が期待されます。
半導体産業への貢献
半導体の微細化と多ピン化が進む中、テストソケットにおいては確実な電気的接続が求められています。エラストマー型半導体テストソケットは、柔らかく弾性のある高分子素材の中に導電性フィラーを散布。これにより、半導体がソケットに確実に接触し、電気信号の伝達を効果的に行います。しかし、現在主流のNi粉末や貴金属メッキされたNiでは、要求される性能を満たすのが難しい状況でした。
Fe-Cu-Agの新しい複合粉末は、その特性から従来のフィラーの代替となるポテンシャルを秘めています。特に、磁場を利用して特定の方向に電気を通す導電経路を形成することが可能なため、半導体テストソケットの性能向上に寄与するでしょう。
今後の展望
今後は、実際のテストソケットへの応用を視野に入れ、材料の組成や粒径、微細構造の最適化を進め、接触抵抗や耐久性、信号伝送特性の評価も行う予定です。2026年には、これらの技術が応用され、半導体デバイスの検査のスムーズな進行が期待されます。また、これに関する詳細は第87回応用物理学会において発表される予定です。
今回の研究は、半導体の品質確保に向けた重要なステップであり、多くの業界における波及効果が見込まれます。フィラーの性能向上によって、半導体製品の市場競争力向上に貢献することが期待されます。