クリエイターの取引環境変化と直面する新たな課題を探る
2024年のクリエイター実態調査により、約10年間でのクリエイターの環境変化や直面している課題が明らかになりました。この調査は、協同組合日本イラストレーション協会(JILLA)が実施し、年々進化するフリーランスの現状を統計的に分析しています。
契約書締結率の低下
調査によれば、クリエイターの契約書締結率が著しく低下しています。「常に契約書を交わす」と答えたクリエイターはわずか36.6%。2022年の調査では55.8%であったことから、契約書に対する認識が弱まっていることが浮き彫りになりました。「たまに交わす」が47.1%で最多を占め、「交わさない」が16.3%と増加傾向です。これにより、クリエイターが自身の権利を守るための手段が弱まっていることが懸念されます。
インボイス制度未登録の課題
また、インボイス制度に関しては、約半数のクリエイターが未登録または判断保留の状態にあります。具体的には、49.9%が「登録した」としており、会計制度の変化に対する適応が進んでいない状態が続いていることが分かりました。43.1%が「登録するつもりはない」と答え、フリーランスとしての再認識や法的対応が必要であることを示唆しています。
スキルへの関心の移り変わり
クリエイターのスキルに関する関心にも変化が見られ、今後身に付けたいスキルにおいて、「営業力」が制作技術を上回りました。特に、営業とマーケティングに関連するスキルは379件、SNSや宣伝に関するものも363件と高い支持を受けています。このことから、クリエイターが技術的なスキルだけでなく、収入を得続けるためのビジネス力も重視していることが伺えます。
フリーランス法への認知度
新たに施行されるフリーランス法についての認知度は73.5%に達しましたが、26.5%のクリエイターは未だにその存在すら知らないという結果も出ています。それに伴い、法律知識に対する関心も高まり、今後の知識補充へのニーズが高まっていることが分かります。
生成AIへの危機感
また、自由回答においては、生成AIに対する危機感が多く寄せられました。特に無断学習や著作権の侵害などが懸念されており、クリエイターの将来に脅威を与える要因として重要視されています。これに対し、生成AIを制作ツールとして受け入れる意見も存在し、クリエイターの間での受け止め方が分かれる結果となりました。
副業の実態
副業に関する調査では、約半数が副業を行っていることが判明し、その理由として「本業の収入だけでは生活できない」が最も多く挙げられています。クリエイターたちは副業を通じて、専門性を発揮しつつ生活の安定を図ろうとしています。この時代における柔軟な働き方が進展していることが示されました。
今後の展望
今回の調査を通じて、クリエイターたちはただ技術を磨くだけでなく、自らのビジネススキルを高めることや制度の変化に柔軟に対応する重要性を再認識していることがわかりました。今後、JILLAではこの調査結果をもとに、クリエイターが安心して活動できる環境を整備するためのサポートを実施していく予定です。次回の調査は2026年12月に実施予定とのことです。
このような動きは、クリエイターやフリーランスがより良い労働条件で働ける環境の整備へとつながっていくでしょう。