YKKとキャディが展開する製造業のデジタル化
日本を代表するファスナー製造のリーディングカンパニー、YKK株式会社と、製造業向けのAIデータプラットフォームを手掛けるキャディ株式会社が手を組み、製造現場におけるデジタル改革の一環として、CADDi(キャディ)の導入が進められています。この革新により、製造業界は新たなステージを迎えています。
YKKの「一貫生産」と生じた課題
YKKはファスナーや留め具製品を展開する企業で、自社で材料から製造までの一貫したプロセスを確立しています。しかし、過去の図面を活用することができない中、新図面を増やし続けた結果、品番が膨大に増加し、製造工程が複雑化してしまいました。これにより、業務のリードタイムが長くなり、現場では熟練者の技術に依存する状況が続いていたのです。
CADDi導入の背景
コロナ禍の中で業務の見直しが迫られる中、製造業界でもデジタル化の潮流が押し寄せました。特に外部の協力会社が別の方式で工程を遂行しているという発見が、内部の業務改革の契機となりました。そこで、キャディはCADDiを活用し、製造プロセスの可視化と標準化を進めています。
CADDiによる変化
CADDiの導入により、これまで不可能だった数万件の図面や不具合情報の迅速なデータ抽出が実現しました。具体的には、1〜2日でのデータ抽出が可能になり、技術資産が合理的に利用できるようになりました。これにより、過去の不具合事例を迅速に紐付け、製造工程の見直しが容易になるなど、業務が大幅に効率化されています。
特に、CADDiのアプリケーション「CADDi Drawer」は、その操作性と検索スピードの向上により、現場にスムーズに受け入れられています。従来のシステムでは検索に30秒以上かかっていたものの、CADDiの導入により「使いやすい」という声が多く聞かれるようになりました。
さらに、若手社員が自ら情報を確認するスタイルが浸透し、ベテラン社員に依存することなく仕事を進められる環境が整っています。これにより、業務の速度と質が両方とも向上し、ナレッジの継承もスムーズに進んでいます。
将来への道筋
現在、CADDiの取り組みは機械製造部門に限定されていますが、これをさらに拡大することで、設計部門との連携を深めていくことが求められています。部門間の経験とナレッジを共通化することで、より多くの部門での効率化が期待されます。
最終的には、開発から市場投入までのリードタイムを短縮し、全ての工程をAIによって統御する製造プラットフォームの構築が目指されています。これにより、YKKは日本国内外の工場で均一な品質を保ちながら、競争力を向上させることができるのです。
YKK株式会社においては、常務執行役員の松井勇氏が「手戻り作業の軽減や新しい図面の標準化を進めることで、よりクリエイティブな業務に白羽の矢を立てる」ことを述べています。今後、キャディとYKKが共同で進めるデジタルシフトは、製造業全体の変革に繋がることでしょう。新たな時代の「モノづくり」が、AIと共に進化していく姿が楽しみです。
CADDiについての概要
製造業AIデータプラットフォームであるCADDiは、エンジニアリングチェーンやサプライチェーンのデータを分析し、インサイトを引き出すプロダクトです。これにより、製造業界の生産活動はさらに高度化されることが期待されています。キャディは、今後も多様なアプリケーションをプラットフォーム上に提供し、市場の変革を推進していきます。