岡山大学の研究チームが、船舶の燃費悪化の一因であるフジツボの付着を防ぐ新しい付着阻害剤、ザイレミンを発見しました。これは、有害成分を含まず、生態系にも優しい特性を持っています。この発見は、海洋産業における付着生物による深刻な問題に対処するための重要な一歩とされています。
フジツボは船体やその他の海洋構造物に付着し、ひいては設備の効率を低下させ、燃費を悪化させる原因となります。これまでの防汚塗料には環境に対する影響が問題視されていましたが、ザイレミンはその毒性がないことから、安全性が高いことが分かりました。
この研究には、岡山大学の髙村浩由准教授、門田功教授、田中健太助教、そして兵庫県立大学の頼末武史准教授などが参加しています。彼らは有機化合物のザイレミンがフジツボの付着を阻害する効果を持つことを科学的に証明し、2025年2月には国際学術誌「Chemistry & Biodiversity」にてその成果を発表しました。
この研究の成果は、フジツボなどの付着生物による海洋産業の損失を軽減することが期待されるとともに、事故や環境問題のリスクを大幅に減らすことにもつながるでしょう。
髙村准教授は「この小さな化合物がフジツボの付着を阻害する能力を持っていることに驚きを感じています。これからは、この知見を基に具体的な製品開発に取り組み、生物付着の問題を解決するお手伝いをしたい」と述べています。
この研究は、海洋環境における生物多様性を保護し、持続可能な海洋資源の利用に寄与することが期待されるものです。そのためにも、今回の発見を基にしてさらなる防汚技術の革新が求められます。
また、岡山大学は地域中核の研究大学として、SDGs(持続可能な開発目標)を支援し、地域社会との連携を強化しています。この新しい技術が実用化されれば、地域の海洋環境保護にも貢献することができるでしょう。
今後も岡山大学は、持続可能な社会実現に向けた研究を推進し、その成果を社会に還元していくことを目指します。各種企業や研究機関とのパートナーシップを深めていくことで、より大きな影響力を持つことを期待されています。国際的な研究の舞台でも注目される成果を持続的に発表し、グローバルな視点から地域の課題解決に寄与していくことが高校生や大学生への刺激にもなるでしょう。
新しい防汚塗料の開発が進む中、岡山大学の研究者たちの取り組みがどのような成果をもたらすのか、今後の展開に注目です。