離島イノシシ被害をドローンで解決！香川・男木島の新しい取り組み

離島のイノシシ被害をドローンで解決！

香川県の男木島では、近年イノシシの急増が問題となっています。農作物への被害はもちろん、住宅地にも出没し住民の安全が脅かされる事態となっていました。この状況を打破するため、一般社団法人日本ドローンビジネスサポート協会が主導し、ドローンと赤外線カメラを使用した生態調査を実施しました。

調査の背景と目的

男木島は高松港から約40分の距離に位置する離島です。イノシシ被害の深刻化を受け、多くの住民が不安を感じる中、手動での監視には限界があります。それを踏まえ、「ドローンによる自動監視システム」が解決策として期待されています。

2025年12月16日から17日までの約24時間、男木町にて定期的な自動飛行による調査が行われ、昼夜を問わずイノシシの活動状況を記録しました。この取り組みは、未来のAI自動判定システムへと発展することを視野に入れて進められています。

調査の手法と実施内容

調査は以下の手法で行われました。

1. 地形調査と飛行ルート設計
調査前にドローンを用いて島の地形や植生、住宅構造を調査し、安全な飛行ルートを設計しました。

2. 自動飛行による定期撮影
DJIの自動離着陸ステーション「DJI Dock3」を島内に設置し、赤外線カメラを搭載した「Matrice 4TD」が事前に設計したルートを自動で飛行しながら、赤外線画像を撮影しました。

3. イノシシの活動時間帯に集中捜索
イノシシは日の出と日の入りの約2時間が特に活発であることが知られています。この時間帯に飛行頻度を高めて集中的に捜索を行いました。

4. 赤外線画像によるイノシシの検出
取得した赤外線画像を調査し、イノシシの体温を捉え、その行動や出没エリアを記録しました。

この一連の調査によって、大量のイノシシの活動画像が記録され、従来の手法では困難だった夜間や隠れた状態でもイノシシの存在を確認できることが明らかになるとともに、その行動パターンも可視化されました。

今後の展望

調査で得られたデータを基に、さらにAIを活用した自動判定システムを開発し、今後の運用に生かしていく予定です。このシステムは、リアルタイムでイノシシの出没を検知し、農作物への影響を軽減するための効果的な対策を打ち出す手助けになるでしょう。また、住民への危険な接近を警告するアラート機能も想定されています。

地域との連携と持続可能な対策

今後は、DJI Dock3とMatrice 4TDの併用により監視精度を向上させ、持続可能な獣害対策モデルを確立することを目指します。この試みが成功すれば、同様の課題を抱える全国の離島や中山間地域にも展開が期待されます。地方コミュニティと連携した新たな監視体制の構築が、イノシシ被害の根本的な解決に寄与することを願っています。

参加企業の紹介

本プロジェクトには、一般社団法人日本ドローンビジネスサポート協会の他に、株式会社キンシュウと株式会社ビットコミュニケーションズが協力しています。これらの企業はドローン技術の普及と地域貢献に向けたさまざまな取り組みを行っており、今後もさらなる連携が期待されています。

この取り組みを通じて、地域の皆さんが安心して生活できる環境が整うことが切に望まれます。