6G時代を見据えた通信技術の進化、量子コンピュータの活用
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、次世代移動通信システムである6Gを実現するための重要な一歩を踏み出しました。彼らは量子アニーリングマシンと古典コンピュータを融合させた新たな信号処理手法を開発し、屋外実験を通じて複数デバイスとの同時通信を成功させました。この成果は、6G時代に対する期待が高まる中で、多様なデバイスの同時接続を実現する可能性を秘めています。
6Gの新たなパラダイム
6Gでは、ドローンやロボット、拡張現実(XR)デバイスなど、数多くのデバイスが同時に接続されることが求められています。これにより接続デバイス数は従来の5Gと比較し10倍以上の増加が見込まれています。この際、単に速度や品質を向上させるだけでなく、数多くのデバイスを同時に効率的にインタラクションさせる技術が不可欠です。
伝統的な通信手法では、一度に通信できるデバイスの数に限界があり、これが多数のデバイスによる信号干渉を引き起こしていました。NICTでは、これらの問題を解決するために、非直交多元接続方式を重視し、新しい信号処理手法を開発しました。
新たな信号処理手法の特徴
NICTが開発した手法では、量子アニーリングマシンを使用して、様々なデバイスから送信される信号の組合せ最適化計算が行われます。この手法により、接続デバイスの数が増えた際に発生しやすい計算量の増大を抑えることができ、より迅速かつ正確な信号検出を実現しました。
具体的には、屋外実験で受信アンテナ4本を使用し、QPSK信号を用いて接続デバイス数8台の条件下で実証実験が行われました。結果として、誤り率ゼロでの信号検出が可能という成果が得られ、さらに10台の同時通信が成功したことが確認されました。これは、接続デバイス密度の10倍向上に向けた大きな進展を意味します。
将来の展望
今回の成果は、6G時代の通信技術における新たな地平を開くものであり、今後はさらなる大規模接続の実証が進められる予定です。特に、ドローン、ロボット、XRデバイスなど、様々なマシン間通信が求められる社会において、その可能性が期待されています。
この通信技術の進化は、私たちの日常生活に新たな革新をもたらすことでしょう。ゆくゆくは、自動運転車やIoTデバイスなど、高度な接続が必要な技術が普及し、私たちの生活をより便利で快適にする未来が訪れると考えられます。
論文と発表情報
この研究成果は、2026年1月9日(金)に行われる国際会議「IEEE Consumer Communications & Networking Conference (CCNC) 2026」で発表される予定です。論文はKouki YonagaとKenichi Takizawaによって執筆されており、今後の通信技術に関心を持つ多くの人に影響を与えることでしょう。これからも競争が激化する通信技術の領域で、量子コンピュータの活用は、重要な鍵となるかもしれません。