プラスチック再生の新技術
2025-11-14 14:10:28

高性能鉄触媒でプラスチックを再生!新たな資源循環型社会への道

高性能鉄触媒でプラスチックを再生!新たな資源循環型社会への道



東京都立大学の大学院理学研究科に所属する野村琴広教授らの研究グループが、ポリエステル製のプラスチックを高純度の化学原料に変換する高性能鉄触媒の開発に成功しました。この技術は、PET(ポリエチレンテレフタレート)を中心に、これまでに多くのプラスチック廃棄物の処理が求められている現状において、非常に重要な意義を持っています。

プラスチックごみ問題の背景



近年、ペットボトルや衣料廃棄物などのプラスチックごみの問題が深刻化しています。調査によると、日本国内でのプラスチックのリサイクル率はわずか3%程度で、欧州でもさらに低い数値が報告されています。その背景には、現行のリサイクル技術が環境に対する負荷が高く、また効果的に再利用できないことがあります。

特に、従来のケミカルリサイクルでは、高温状態での加熱や無機塩基、酸などの化学薬品が多く必要とされるため、エネルギー消費や環境負荷の観点から問題視されています。この状況を改善するために、シンプルで効率的で且つ環境に優しいリサイクル技術のニーズが急務となっていました。

高性能鉄触媒の開発



今回の研究で開発された高性能鉄触媒は、ポリエステルをアルコールと混合・加熱するだけで、驚くべき効率(99.7~99.9%)で化学原料に変換できることが特徴です。この触媒を用いることで、温和な条件下でも高い反応性が維持され、しかも入手しやすく安価な素材である鉄を使用しています。

触媒の機能によって、ポリエステルに含まれる成分をほぼ100%高純度のテレフタルジエステルなどに変換可能とされています。これは、今後の高付加価値品の製造に向けた基盤技術としても期待されています。

実用化の可能性



実際にリサイクル工場で使用されるペットボトル廃棄物や衣料廃棄物にも、この新たに開発された触媒が機能することが確認されており、効率よく高純度な化学原料を回収する技術として非常に有用です。従来の方法では高いリサイクルコストが課題であったため、この技術によって経済性も向上することが期待されます。

また、さまざまなアルコールの使用が可能であり、さらにアミンとの組み合わせで触媒効率が向上することも示されています。これにより、プラスチックごみの問題が解決される新たな道筋が見え始めています。

結論



今後、今回の研究成果を基にした技術のさらなる発展が期待されるとともに、資源循環型社会の構築に向けた一歩となることが願われます。この高性能鉄触媒の技術がもたらす変革には、多くの注目が寄せられています。

この技術の発表は、2025年11月12日に米国の学術誌「ACS Sustainable Resource Management」のオンライン版でも公開される予定です。私たちの生活環境を守るための技術革新が、いよいよ新たな時代を迎えようとしています。


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