新たな試みである「ひきこもりVOICE STATION全国キャラバン」が8月22日、大阪市のグラングリーン大阪で行われました。これは、厚生労働省が推進する「ひきこもりに関する地域社会に向けた広報事業」の一環で、全国の6つの都市を巡るイベントです。238人もの参加者が集まり、経験者たちが語るリアルな体験に耳を傾けました。
このプロジェクトには、演出家の宮本亞門さんやお笑い芸人の山田ルイ53世さん、インフルエンサーのまいきちさんが登壇。それぞれの経験に基づく話を通じて、ひきこもりに対する理解を深めることを目的としています。参加者たちは、多様な視点から「ひきこもり」の現実を感じ取る機会となりました。
キャラバンは2022年に開始され、すでに28都市が対象となっていますが、今年度は大阪を皮切りに、青森、山梨、岐阜、岡山、宮崎の各都市で開催されます。参加者たちは、ひきこもり当事者だけでなく、その家族や支援者の声も聞くことで、より深い理解を得ようとしています。
山田ルイ53世の経験
山田さんは中学受験に成功した後、完璧を求めるあまりに、自らを追い込むように。中学2年生の頃に通学中の失敗がきっかけで、6年間のひきこもり生活に入ってしまいました。成人式を迎える頃、同世代の友達が自分から遠ざかっていく感覚に焦りを感じ、遂には物理的に外に出るために、少しずつ「とりあえず」を実行するようになりました。この小さなステップの積み重ねが彼を再び社会へと導いたのです。
まいきちの葛藤
続いて、まいきちさんは、強い教育熱心な家庭で育ったものの、文化の違いから孤立感を感じるようになった経緯を聴かせてくれました。コロナ禍で自身のメンタルが崩れる中、家族との愛情に苦しみもがくことになりました。しかし、「母で始まり、母で終わる」という感覚を持ち、対等に語り合える関係を築くことで、少しずつ前に進めるようになったと語ります。
宮本亞門の視点
宮本さんは、自身が経験したひきこもりの時期に感じた恐れや不安を、その後のキャリアの中で克服していく過程を共有しました。彼は、「人間は不完全で愛おしい存在であり、ひきこもりにもそれぞれの物語がある」と語ります。ひきこもりという状態が唯一の定義を持たないように、彼の体験も他者とは異なることを強調しました。彼は、「お互いの思いを共有する場が大事であり、共感を得ることで安心感が生まれる」と話しました。
ひきこもりボイス川柳の可能性
キャラバンのセッションの最後には、現在募集を行っている「ひきこもりボイス川柳」の紹介もされました。このプロジェクトは、参加者やその家族の思いを川柳として表現し、より広範に気づきや理解を促進することを目的としています。各登壇者は、自らの川柳を通じて心の内を語り、ひきこもりの当事者が持つ気持ちを綴る意義について呼びかけました。彼らは、一人一人が大切な存在であることを再確認し、支え合う気持ちを強調しました。
セッション2では「へにゃ感」を探る
セッション2では、高木信洋さんと日花睦子さんが登壇し、ひきこもりの経験から感じる「へにゃ感」という新しい視点を提案しました。高木さんは、自身の経験から導き出したこの用語を通じて、完璧を求めすぎない生き方の重要性を説きます。日花さんも、息子との関係を変えるきっかけを見つけた際の気づきを語りました。
このキャラバンは、さらなる5都市での開催が予定されており、各地で多くの出会いや心のつながりが生まれることが期待されています。今後もこの取り組みを通じて、誰もが生きやすい社会を作るための第一歩を踏み出していきましょう。