大企業の新規事業育成を目指す新提言
はじめに
企業が持続的な成長を遂げるためには、新しい価値を生み出し続けることが不可欠です。しかし、多くの大企業は新規事業の立ち上げに苦しんでいます。そこで、株式会社グロービスが提案する『創造中心経営』が注目されています。本記事では、同社が発表したラウンドテーブル・レポートを基に、新規事業の育成に関する洞察や行動指針について詳しく探っていきます。
グロービスの提言
グロービスは、セイノーHD、ソニー、東京海上HD、ヤマハ発動機、SB C&Sの各社の役員との共同研究により、大企業が新規事業を次世代の中核事業に発展させるための課題を明らかにしました。彼らは、経営陣が短期的な業績に囚われず、長期的な視点で新規事業を育成することが求められるとしています。
新規事業に対する現状の課題
多くの企業において、新規事業はPoC(概念実証)段階に留まることが多いです。背景には、短期業績と長期投資の折り合いがつかない現実や、安定と変革の狭間で揺れる経営課題があります。これらの課題は経営者のみが対処可能であり、現場の努力だけでは解決できない点が指摘されています。
創造中心経営の定義
本レポートでは、企業が新たな価値創造を全社戦略の中心に据えることを『創造中心経営』と定義しています。この経営アプローチでは、経営トップに求められる行動指針を『THE REAL』として4つの要素に整理しています。
1.
Resolve(覚悟と決断): 経営層が創造を戦略の中核に据える決断を下します。
2.
Enthusiasm(熱狂と保護): 新規事業の挑戦を支持し、既存組織の圧力から守ります。
3.
Awakening(覚醒と代謝): 評価基準にとらわれず、新たな人材を育成します。
4.
Lasting(継承と成長): 挑戦の熱を次世代へと引き継ぐ仕組みを構築します。
この4つの要素が連携し、持続的な価値創造を可能にする循環を生み出すのです。
ラウンドテーブルの実施
グロービスでは、2025年7月から2026年3月まで大企業の役員を対象にラウンドテーブルを開催しました。この議論の中では、各社の実践知と経験が持ち寄られ、新規事業をいかに中核事業へと育てるかを多角的に探求しました。
協力した企業は、業種も異なり、一人一人が独自の視点を持つリーダーたちです。こうした多様な意見が集まり、具体的な行動指針も生み出されました。特に、経営者が短期的な考え方を超えて長期的な視点を持つことが、新規事業の成功に欠かせない要素として浮かび上がりました。
経営のジレンマを乗り越える
新規事業が進まない理由として「事業の壁」と「資本の壁」が挙げられます。現場と経営の間には時間軸や価値基準の違いがあり、これが新しいビジネスの展開を阻む要因です。新たな価値創造に向けて、企業が如何にこれらの壁を乗り越えるかが大きな課題となっています。
まとめと今後の展望
グロービスが提言する『創造中心経営』を実行に移すことによって、多くの企業が持続的な成長の道筋を見出すことでしょう。経営者が対話を進め、多様な価値観を取り入れつつ、新しい挑戦に向かって進むことで、日本の企業全体が新たな時代に適応していくことが期待されます。
このレポートは、今後の経営戦略を考える上での貴重なリソースとなるでしょう。新規事業の可能性を引き出すために、企業はより一層の努力と変革の意識を持たなければなりません。