アヴィーチー・アリーナが最新技術でさらに進化
スウェーデンのストックホルムにあるアヴィーチー・アリーナ(旧エリクソン・グローブ)は、1990年に完成した球状の建築物で、世界最大の同様の施設として知られています。直径110メートル、高さ85メートルを誇り、スポーツや音楽イベントの拠点として長年にわたり愛されてきました。今回、アヴィーチー・アリーナはかねてより進められていた大規模な改修工事を通じて、最新の可動式音響天井システムが設計・製作・施工されました。
最新の可動式音響天井システムの特徴
新しく導入された可動式音響天井システムは、452枚の特殊パネルで構成されています。これらのパネルは、厚さ100mmの断熱材入り膜材を使用しており、優れた音響性能とデザイン性を兼ね備えています。また、パネルはアリーナの湾曲した天井形状に沿って配置されており、電動チェーン駆動によってスムーズに開閉できます。これにより、イベントに応じた音響の最適化が可能になり、わずか10分で音響環境を切り替えることができるという驚異的な効率性を実現しています。
このような革新により、アヴィーチー・アリーナは今後のスポーツイベントやコンサート、式典など様々な用途に対応した柔軟な空間としての役割を果たすことが期待されています。
改修工事の背景と目的
近年、多目的施設に対するニーズが高まり、音響性能の技術も進化してきました。これに伴い、アヴィーチー・アリーナも観客席やラウンジエリアの拡張を含む全面的な刷新が必要とされました。この改修工事は、音響性能の向上に留まらず、空間の柔軟性や演出性を高めることを目的としています。
改修工事は2024年1月から2025年1月までの間に実施され、2025年2月1日にはスウェーデンのエレクトロデュオ「Kite」が再オープンの公演を行う予定です。この公演を皮切りに、アヴィーチー・アリーナでは2027年のバスケットボール欧州選手権女子大会などの重要な国際イベントの開催も計画されています。
太陽工業の役割
今回の改修工事は、太陽工業株式会社が手掛けました。太陽工業は大型膜面構造物や土木・物流資材などに特化した企業で、音響天井システムの設計、施工、運用・保守体制の構築を担当しました。
「膜の無限の可能性を引き出し、お客さまに感動と快適な環境をお届けする」という企業理念の下、太陽工業は音響特性とデザイン性を両立させた新しい空間の実現を目指しています。
結論
アヴィーチー・アリーナの改修によって、スウェーデンのスポーツや文化イベントの新たな拠点が誕生し、音響性能はもちろんのこと、その空間の佇まいや演出性においても世界的な水準を誇る施設として生まれ変わりました。今後、この新しいアリーナが様々なイベントにどのような形で貢献していくのか、非常に楽しみです。