八王子市の健康アプリ『てくポ』が高齢者の元気を支える理由

東京都八王子市は、株式会社ベスプラが開発した健康アプリ『脳にいいアプリ』を活用し、健康ポイント施策『てくポ』を実施しています。この取り組みにより、3年7ヶ月で13,140名もの高齢者が参加し、累計261億歩という驚異的な数字を達成しました。今回は、八王子市の取り組みとその成果をご紹介します。

八王子市の導入背景

八王子市では2021年10月に、健康づくりを応援するべく、自ら実証実験を開始しました。「無理なく・楽しく・いつまでも」という理念のもと、高齢者が楽しみながら健康を維持できるように、従来の紙手帳制度をデジタル化しました。このデジタル化により、持続可能性と運用効果の向上が見込まれ、ICTを活用した『てくポ』が誕生しました。

健康ポイント制度『てくポ』の仕組み

『てくポ』は、日常の健康活動や社会参加をポイントに変換する制度です。高齢者が「歩く」「食べる」「脳トレをする」「ボランティアに参加する」といった行動を通じて、スマートフォンアプリ上でポイントを獲得。貯まったポイントは、地域の協力店での買い物や、キャッシュレス決済のPayPayポイントと交換可能です。この仕組みは、高齢者の健康増進と地域経済活性化の両立に貢献しています。

このアプリはゲームの要素が取り入れられており、参加者は楽しみながら身体活動や脳のトレーニングを行えます。また、ボランティア活動の参加者も増えており、地域における健康活動の拡大が期待されています。八王子市はこの取り組みで東京都や全国の課題解決へ寄与するモデルケースとして注目されています。

『てくポ』のインパクト

八王子市における『てくポ』の成果は数字に表れています。3年7ヶ月で累計歩数が261億歩に達し、その医療費抑制効果は約16億円に上ります。また、参加者の80%以上がアプリを継続利用しているとのデータもあり、これは八王子市民の健康意識の高さを物語っています。さらには、ボランティア活動への参加も進み、高齢者の社会参加が活発化しています。

受賞歴

『てくポ』の実績は評価され、2024年には日本健康会議の「官民連携分野」で最優秀賞を受賞しました。この評価は、高齢者の健康促進と地域経済の活性化を同時に実現する素晴らしい取り組みがなされていることを示しています。

利用者の声

利用者からは「毎日ポイントが増えるのが楽しみで自然と歩くようになった」や、「脳トレを夫婦で競い合うことで、会話が増えた」といった声が寄せられています。また、ここでの健康活動を通じて、新しい友人やコミュニティが広がるなど、生活全般での質向上が見られます。特に、従来の健康施策には参加しにくかった男性高齢者の四割が利用しており、健康無関心層にもアプローチできている点が特筆されます。