渋谷区と認定NPO法人虹色ダイバーシティが、全国のパートナーシップ制度についての最新調査結果を発表しました。この調査は、全国の地方自治体におけるパートナーシップ制度の現状を把握することを目的としており、特に注目すべきはその登録件数と人口カバー率です。制度はLGBTQなどの性的マイノリティのカップルを「結婚に相当する関係」として自治体が認めるもので、渋谷区が平成27年に初めて導入して以来、今年で10年を迎えます。
調査によると、令和7年5月31日現在、導入自治体数は530となり、人口カバー率は92.5%に達しました。これは、平成29年の調査開始時と比べて導入自治体数が約88倍、登録件数が約102倍という驚異的な伸びを示しています。特にここ3年の間での変化は顕著で、導入自治体数は約2.4倍、登録件数は約3.1倍の増加を見せています。これにより、国内のLGBTQの権利保障がより進展したことが明確になりました。
また、都道府県別のデータでは、以前4件存在していた「制度のない県庁所在地」がすべて解消され、全国的にパートナーシップ制度の導入が進んだことが伺えます。これは、LGBTQの権利拡大に向けた重要な一歩と言えます。また、資格を持っているカップルが公営住宅に住むことができるなど、制度の意義も大きいと評価されています。
渋谷区の区長、長谷部健氏は「この10年間で全国各地の自治体でパートナーシップ制度の導入が進み、LGBTQの権利が保障されることに貢献できたことを嬉しく思います。人口カバー率が90%を超えて日本全国で一定の理解が得られたため、渋谷区としては今回が最後の調査発表となりました。」とコメントしています。
さらに、虹色ダイバーシティの理事長、村木真紀氏も「地方自治体としてLGBTQのためにできることはパートナーシップ制度だけではなく、企業や学校に向けた研修など多岐にわたります。現在、国はLGBTQのカップルの統計データを把握しておらず、今後はその実態を踏まえた有効な施策の実施が求められます。」と、今後の課題についても触れています。
このように、渋谷区と虹色ダイバーシティの共同調査によって日本全国のパートナーシップ制度の普及状況が明らかになり、それを通じてLGBTQの権利が拡大していく様子は、多くの人々の心に希望を与えています。これからの日本において、性的マイノリティに関する理解がさらに深まり、誰もが自分らしく生きられる社会の実現に向けて進んでいくことを期待したいです。