IPO市場の復活
2025-08-12 13:24:52

2025年上半期のIPO市場、復活の兆しを見せる

2025年上半期のIPO市場の状況



2025年の上半期において、世界のIPO市場は回復の兆しを示しました。539件の新規上場が行われ、614億米ドルの資金を調達しました。前年同期に比べて調達額は17%の増加を記録しており、これが市場の受け皿としての役割を果たしていることが強調されています。

特に注目すべきは、中華圏が世界全体のIPO調達額の3分の1を占めているという点です。対照的に、米国は109件の上場を果たし、件数では首位を維持しています。これは2021年以来の最高パフォーマンスであり、市場の変動性にもかかわらず、企業は依然としてIPOを積極的に模索しているようです。

クロスボーダー上場の重要性



また、2025年の上半期には、クロスボーダー上場の件数が過去最高を記録し、全体の14%に達しました。これにより、地理的に販売戦略を再考する企業が増え、特に中華圏やシンガポールからの企業が米国での上場を検討する傾向が強まっています。EYのグローバルIPOリーダーであるGeorge Chanは、市場の変動が企業フィナンシングに大きな影響を与えていることを指摘し、「長期的な戦略を立てながらも短期的な起伏に対応する準備が不可欠」と述べています。

地域別のIPO情勢



アメリカでは、2021年の高値以降、IPOの件数が増加しており、109件を記録しましたが、中華圏は数年の低迷を経て急回復しています。特に香港市場は、調達額が前年同期比で7倍増加し、再び世界TOPの座を奪回しました。欧州市場は不安定な状況が続く中、スウェーデンでの大型IPOが注目を浴びていますが、全体的には慎重な動きが続いています。逆に、中東市場は好調な流れを続けており、インドはIPO数が減少したものの高額調達を維持する局面にいます。

セクター別の動向



セクターの観点から見ると、地政学的な要因がIPO市場にも影響を及ぼしており、特定の分野にフォーカスした上場機会が増加しています。製造業ではモビリティ関連の上場が活発化しており、サプライチェーンの現地化が追い風となっています。また、エネルギー分野では防衛技術のIPOが増えており、近年増加する防衛予算を反映しています。ライフサイエンスやテクノロジーに関する上場も盛んで、デジタル資産およびフィンテックエリアからの新規上場が目立っています。

下半期への期待と展望



2025年下半期のIPO市場については依然として課題が残るものの、希望的な見通しも聞かれています。市場の成長を促すためには、より協調的な貿易政策や金融緩和が求められるでしょう。また、企業が柔軟なバリュエーションをもって説得力のあるエクイティストーリーを描くことが成功への鍵です。特に日本市場ではIPOの件数が減少傾向にありますが、プライム市場においては大型案件が予定されており、活況が期待されます。

EY新日本有限責任監査法人の善方氏は「日本のIPO件数は昨年の38社から10社減の28社に留まったが、下半期に向けて期待できる」とコメントしており、これらの動向に注目が集まります。日本国内のIPO状況についても引き続き注目し、各国の市場動向を総合的に評価することが求められます。

結論



2025年のIPO市場は、地政学的要因や市場のボラティリティに影響を受けながらも、上半期において「回復力」を見せています。企業が持続可能な成長を目指す中で、この動きが今後の市場トレンドにどのように結びつくのか、引き続き注視していきたいところです。

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