紙リサイクル対話
2026-05-29 12:55:56

紙リサイクルを考える新たな対話の場が誕生!セミナーレポート

未来の紙リサイクルを考えるセミナー開催



2026年5月26日、東京都中央区にて、公益社団法人 日本包装技術協会と公益財団法人 古紙再生促進センター共催のセミナー「紙リサイクルの未来、共に考えませんか?」が行われました。このセミナーのテーマは「動脈」と「静脈」の共創を目指す新たな試みでした。

近年、包装業界における「脱プラ・紙化」の動きが加速していますが、その一方で、紙リサイクルの現場では可燃ごみに残される「雑がみ」や複合素材に関する品質問題など、新しい課題が浮かび上がっています。このセミナーでは、「つくる側(動脈)」と「まわす側(静脈)」がそれぞれの現状を共有し、素材から回収、再利用のプロセスを一体的に捉える視点を持つことを目的としました。

セミナーの概要



セミナー冒頭、日本包装技術協会の井出室長は、「本セミナーは特定の結論を急がない。業界全体での認識共有を重視し、今後のさらなる対話につなげていきたい」と説明しました。その後、古紙再生促進センターの川上正智専務理事と、株式会社パックエールの内村元一代表取締役がそれぞれの立場から話を展開しました。

静脈視点から見た紙リサイクルの現状



川上専務理事は、「紙リサイクルの現場から考える循環社会―雑がみ問題と資源循環―」と題して講演しました。内容は、古紙を取り巻く変化、可燃ごみに残る資源、そして市民の分別意識に関するものでした。講演の中で、紙の需要構造の変化や古紙発生量の減少が課題であることが説明され、特に「雑がみ」の問題が注目されました。家庭から出る雑がみは分別次第で資源化が可能ですが、日常の分別行動には「面倒さ」や「分かりにくさ」が影響しているとの指摘がありました。

さらに川上専務理事は、包装の高機能化や紙化進展に伴う情報の非共有がリサイクル現場の誤解や分別での混乱につながっていると警鐘を鳴らしました。古紙センターが進める「雑がみさまを探せ!」といった啓発活動も紹介され、地域でも参加できるモデルが重要であることが語られました。

動脈側からの包装設計の新潮流



次に内村氏が行った講演では、「サーキュラーエコノミー時代の包装設計「脱プラ・紙化」のその先へ」というテーマで、包装設計や環境対応のトレンドが発表されました。欧州の規制が影響し、環境への対応が市場参入の前提条件に変わってきたことが指摘されました。また、「紙化」が進む中でも、リサイクルの適性や分別の問題が増加していることも強調されました。ここで内村氏は「すべての紙製品がリサイクル可能ではない」という現実を示し、分けやすいデザインの重要性を説明しました。包装設計においては、ただ紙に置き換えるだけでなく、循環の仕組みまで考慮した「Design for Recycling(DfR)」の視点が欠かせないと述べました。

未来への対話の重要性



このセミナーでは、動脈と静脈、異なる立場を持つ参加者が「循環」という共通のテーマに向き合う姿が印象的でした。課題は単一業界で解決できるものではなく、設計から流通、回収に至るまで多様な主体が関与しています。そのため、急いで結論を出さず、現状と課題を相互に理解するプロセスが持続可能な社会作りの出発点となります。

日本包装技術協会と古紙再生促進センターは、今後もこのような対話の場を設け、理解を深めながら資源循環の持続可能な方法について実務的な検討を重ねていく考えです。このような取り組みが、未来の紙リサイクルのあり方に新たな光をもたらすことを期待しています。


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