組織改革の新視点
2026-05-21 11:25:15

臨床組織科学とLewinの理論的接続による組織改革の新たな視点

臨床組織科学とLewinの理論的接続による組織改革の新たな視点



臨床組織科学(Clinical Organizational Science、略称COS)は、組織の行動変容を考える上で新しい視点を提供しています。本記事では、COSがKurt Lewinの場の理論を取り入れ、どのように組織の「見えない相互作用構造」を観察・設計し、構造的介入を提案しているかを探ります。

COSの基本的な理解



COSは、複雑系科学や神経科学、組織心理学、行動科学を融合したフレームワークで、組織の安定した状態を再生産するための相互作用構造を活用します。これにより、個人の行動変容だけでなく、組織全体のアトラクターの遷移に焦点を当てています。

代表の山中真琴氏が筆頭著者となって発表した論文『Clinical Organizational Science: An Integrative Framework for Structural Intervention in Complex Organizations』は、国際学術誌『Frontiers in Psychology』においてCOSの概念を体系的に整理しました。この研究は、しばしば忘れ去られがちな、構造的介入の重要性を強調するものです。

Lewinの場の理論



Kurt Lewinの場の理論(B = f(P, E))は、行動を個人の内面的要因だけでなく、環境要因との相互作用として捉える考え方です。この理論は、組織変革が単なる個々の意識や態度の変化だけでは実現せず、相互作用の場そのものを変革する必要があることを示唆しています。従って、COSは話し合いや会議の構造、フィードバックの形式などの具体的な場の要素に着目します。

COSにおける「場」の再定義



COSにおいて「場」は、単なる雰囲気や環境を超え、会議の進行や意見の表明、フィードバックの内容など、行動を生み出す条件の集合体として理解されています。これにより、組織内部の人々がどのように活動し、どのように反応するかを再設計できる可能性が生まれます。

Field Gradient Theoryの導入



COSで重要な技法の一つがField Gradient Theoryです。この理論は、具体的な相互作用場における非対称性を利用して、組織アトラクターの変化の可能性を高めることを目的としています。例えば、2対1構造という形式を用いることで、従来の対話のパターンに新たな視点が提供されます。

しかし、この技法は単に行動を強制することを意図されたものではなく、行動が生じる条件を変化させることによって、さまざまな反応が生まれやすくなることを重視しています。

心理的安全性の必要性



ただし、COSが強調するポイントの一つは、場を変えるだけで良い結果が得られるわけではないということです。心理的安全性がない環境でこのような構造を導入すると、それはむしろ圧力として受け取られ、かえって既存の行動を強化する恐れがあります。

そのため、COSはNeural Base Designを重視し、信頼関係やフィードバックの習慣を整えることが不可欠と説きます。安心感のある環境を作ることで、初めてField Gradient Theoryが意図した効果を発揮します。

積極的な理論の再配置



COSでは、既存の知見を再配置し、組織変革を構造的介入という観点から捉えます。これは、心理的安全性や組織ルーチンなどの理論を新たに構造的な介入として活用することを意味します。このように、COSは組織の現場から理論を生み出し、逆に理論を現場に還元することを目指しています。

まとめ



COSは、単なる行動変容の枠組みを超え、組織全体の構造を見直すことで、持続可能な変革を実現しようとしています。これは、相互作用の場を意識し、その変化をデザインすることによって、私たちがどのように共に働き、成長するかを問う新しいアプローチです。今後もCOSの研究が、組織改革における重要な鍵となることを期待しています。


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